講演情報
[G-P-1]沖縄トラフ南部に発達する魚釣長谷の地形学及び地質学的特徴
*三澤 文慶1、高下 裕章1、新井 隆太2、Nishimoto Michelle3、山本 朱音4、桑野 大輔5、尾内 千花6、池原 実7、大坪 誠1 (1. 産業技術総合研究所、2. 海洋研究開発機構、3. マサチューセッツ大学アマースト校、4. 筑波大学大学院、5. 京都大学、6. 千葉大学大学院、7. 高知大学海洋コア国際研究所)
キーワード:
琉球弧、沖縄トラフ、深海チャンネル、魚釣長谷、反射法地震探査、海底地形データ
海底チャンネル(深海チャンネル)は海底で見られる重力流堆積物の流路であり、海底扇状地に関連して形成され(例えば、平,2004)、ベンガル海底扇状地や富山深海長谷はその代表例として知られている(例えば、Curray et al., 2003; Nakajima et al., 1998)。沖縄トラフ南部は1.5 Maから断続的に大陸地殻のリフティングが発生している背弧海盆であり(Sibuet et al., 1998)、魚釣長谷・与那国長谷をはじめとして海底チャンネルが複数認められる。2023年12月末から翌年2024年1月上旬に実施した海洋研究開発機構(JAMSTEC)所属の学術研究船「白鳳丸」KH-23-11航海では、与那国海底地溝の北方に位置する魚釣長谷域を含めたエリアで調査を実施した。本発表では、魚釣長谷の地形学的及び地質学的特徴を述べる。
白鳳丸KH-23-11航海では採泥及び熱流量観測などの停船観測と反射法地震探査などの航走観測を実施した。航走観測として、海底地形調査、マルチチャネル反射法地震(MCS)探査、サブボトムプロファイラー探査、地磁気観測(プロトン磁力計及び船上3成分磁力計)、船上重力観測、およびXCTD観測を実施した。特にMCS探査では、2基の355立方インチGIガン(総容積710立方インチ)と1,200 m, 48chストリーマーケーブルを使用した。
観測の結果、魚釣長谷は東西全長約70 kmにわたって分布しており、顕著な蛇行地形を示す。得られた海底地形図上でチャンネル自体の幅は約350~550 m程度である。本チャンネルは台湾側まで連続しており、調査範囲の及ばない上流域に関してはTsai et al. (2021)の示す海底地形図に示されており、Mienhua海底谷の末端部に形成された海底扇状地の東端部に位置する2つの海底火山の間付近に、チャンネル上流端が位置することが確認された。そのため、本チャンネルの堆積物の流下方向は西から東と推定される。本チャンネルの下流末端部では急激に南東方向へ屈曲し、最終的に与那国海底地溝に達する。また、チャンネルの周辺にも複数の蛇行したチャンネルが分布することが地形から認められるが、地形的連続性の悪さからこれらはすでに放棄チャンネル(旧流路)と考えられる。チャンネル部分を通る反射断面では、海底面下約0.3秒以深に、海底面にほぼ平行で連続性の良い内部反射面からなる沖縄トラフのトラフ充填堆積層が認められた。その上位には周囲の堆積層から独立したチャンネル起源の堆積体が発達する。堆積体の層厚は最大で約0.3秒(水中音速1,500 m/sで換算して約230 m)で、海底下に埋没した部分を含め、南北方向に約19 kmにわたって分布する。堆積体の表層部には深さ約30~40 mの流路が認められ、その周囲に自然堤防が形成されている。この堆積体は表層部のみに独立して存在することから、比較的新しいものと考えられる。加えて、チャンネルの南東方向へ屈曲する地点では、沖縄トラフの伸張場で形成された海底まで到達した南落ちの正断層が分布する。この沖縄トラフ形成に関する断層活動に伴う地形変化により、流路が変化したと考えられる。
※本発表は日本地質学会2025年大会にて発表キャンセルしたものを再度発表するものである。
<参考文献>
Curray et al. (2003), Marine and Petroleum Geology, 19.
Nakajima et al. (1998), Marine Geology, 147.
平朝彦(2004),岩波書店, 441pp.
Tsai et al. (2021), Tectonophysics, 817.
Sibuet et al.(1998), JGR, 103.
白鳳丸KH-23-11航海では採泥及び熱流量観測などの停船観測と反射法地震探査などの航走観測を実施した。航走観測として、海底地形調査、マルチチャネル反射法地震(MCS)探査、サブボトムプロファイラー探査、地磁気観測(プロトン磁力計及び船上3成分磁力計)、船上重力観測、およびXCTD観測を実施した。特にMCS探査では、2基の355立方インチGIガン(総容積710立方インチ)と1,200 m, 48chストリーマーケーブルを使用した。
観測の結果、魚釣長谷は東西全長約70 kmにわたって分布しており、顕著な蛇行地形を示す。得られた海底地形図上でチャンネル自体の幅は約350~550 m程度である。本チャンネルは台湾側まで連続しており、調査範囲の及ばない上流域に関してはTsai et al. (2021)の示す海底地形図に示されており、Mienhua海底谷の末端部に形成された海底扇状地の東端部に位置する2つの海底火山の間付近に、チャンネル上流端が位置することが確認された。そのため、本チャンネルの堆積物の流下方向は西から東と推定される。本チャンネルの下流末端部では急激に南東方向へ屈曲し、最終的に与那国海底地溝に達する。また、チャンネルの周辺にも複数の蛇行したチャンネルが分布することが地形から認められるが、地形的連続性の悪さからこれらはすでに放棄チャンネル(旧流路)と考えられる。チャンネル部分を通る反射断面では、海底面下約0.3秒以深に、海底面にほぼ平行で連続性の良い内部反射面からなる沖縄トラフのトラフ充填堆積層が認められた。その上位には周囲の堆積層から独立したチャンネル起源の堆積体が発達する。堆積体の層厚は最大で約0.3秒(水中音速1,500 m/sで換算して約230 m)で、海底下に埋没した部分を含め、南北方向に約19 kmにわたって分布する。堆積体の表層部には深さ約30~40 mの流路が認められ、その周囲に自然堤防が形成されている。この堆積体は表層部のみに独立して存在することから、比較的新しいものと考えられる。加えて、チャンネルの南東方向へ屈曲する地点では、沖縄トラフの伸張場で形成された海底まで到達した南落ちの正断層が分布する。この沖縄トラフ形成に関する断層活動に伴う地形変化により、流路が変化したと考えられる。
※本発表は日本地質学会2025年大会にて発表キャンセルしたものを再度発表するものである。
<参考文献>
Curray et al. (2003), Marine and Petroleum Geology, 19.
Nakajima et al. (1998), Marine Geology, 147.
平朝彦(2004),岩波書店, 441pp.
Tsai et al. (2021), Tectonophysics, 817.
Sibuet et al.(1998), JGR, 103.
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