講演情報
[G-O-4]地域地質研究報告5万分の1地質図幅「大多喜地域の地質」についての所見
*木村 英人1 (1. 株式会社ソイルシステム)
キーワード:
文献照査、地域地質、上総層群、斜面対策工、国際標準模式層断面及び地点
20万分の1地質図「大多喜」(三梨・須田,1987)が刊行されてから39年を経て,5万分の1地質図幅「大多喜地域の地質」(宇都宮ほか,2026,以下本書)が刊行された.筆者は卒業研究にて,当時の千葉県水質保全研究所地盤環境研究室の楡井久室長(1992年時点で非常勤講師を兼務)及び研究員の指導の下で,2.5万分の1地形図「大多喜」の中心付近約20km2の範囲を初めてのフィールドワークとして踏査した.卒業研究地域に分布する上総層群は,下位より梅ヶ瀬層,国本層,柿ノ木台層,長南層であり,地質構造はN67~69°E7~9°Nで,傾斜方向と養老川の流下方向がほぼ一致している。全体に塊状泥(砂)層,砂(泥)層勝ち砂泥互層,等量砂泥互層の堆積物層で構成され,広域テフラを含む多くのテフラが挟在する.層序学定義づけは養老川ルートで行い,これを東部の古敷谷川まで当てはめていった.地学事典(地学団体研究会地学事典編集委員会編,1981.地学団体研究会編,2024)にも単層の定義自体が明確に定量化されていないので養老川ルート全ての単層厚を一層毎に測定し,互層や塊状層の定量的定義を行った.単層はテフラを除き原則同一粒子から構成され層厚1cm~2m未満とし,塊状層は層厚2m以上,挟在層を認める場合は挟在層:母層=1:10超とした.等量砂泥互層は砂:泥=6:4~4:6とし,砂(泥)層勝ち砂泥互層は砂(泥):泥(砂)=6:4~10:1となるものを砂勝ち砂泥互層としたものである(木村ほか,2019.木村ほか,2021).地域地質研究報告を謳っているが,地質図Naviにおいて20万分の1「大多喜」を表示後5万分の1「大多喜」を表示させると20万分の1地質図に描かれていた断層が一部消えてしまうが,本書にその旨の記載は無い.主要テフラの誤描画(千葉公害研究所地盤沈下研究室,1980)及び明瞭な断層の未記載(木村ほか,2021)も認められる.2024年に市原市南部の折津ロックシェッド北側坑口東法面が崩落し,養老渓谷温泉郷のアクセスに支障をきたした(堀田ゆうすけBlog,2026)がこれも斜面災害の項に記載されていない.本書は,河川法(佐伯ほか,2024)による河川管理者(千葉県市原土木事務所,2019)管内図の河川名に反した河川名が産総研の名でWEB で公にされているが,管内図は本書より以前からWEB公開(現地にも河川名表記有り)されている.
本書について法律家に伺ったことは無いが,筆者は法律家ではないので事実を述べるに留める.
引用文献
千葉県市原土木事務所管内図,閲覧2026/07/13,2019,https://www.pref.chiba.lg.jp/doukan/ douroiji/shiryou/ documents/15ichihara-3-h31-01.pdf.
千葉公害研究所地盤沈下研究室,1980,千葉県における地層のK-Ar法による年代測定-その1-,千葉公害研究所研究報告第12巻第2号,59-69.
地学団体研究会編,2024,最新地学事典,平凡社.
地学団体研究会地学事典編集委員会編,1981,地学事典増補改訂版,平凡社.
地質調査総合センター地質図Navi,閲覧2026/07/13,2026,https://gbank.gsj.jp/geonavi/ geonavi.php#15.
堀田ゆうすけBlog,閲覧2026/06/29,https: //www.Komei.or.jp/km/ Ichihara-hotta-yusuke/2026/ 05/16/ 152159/.
木村英人・楡井久,2019,市原市南部における上総層群国本層とByk zoneの分布状況と層相,第29回環境地質学シンポジウム論文集,109-114.
木村英人・楡井久,2021,単元調査法原則設定からの層序学 ~上総層群国本層を例に,第31回環境地質学シンポジウム論文集,45-48.
三梨昂・須田芳明,1987,20万分の1地質図幅「大多喜」,地質調査所.
佐伯仁志・大村敦志・荒木尚志,2024,六法全書Ⅰ,有斐閣,2022-2032.
宇都宮政志・小松原琢・中島輝允・徳橋秀一,2026,大多喜地域の地質,地域地質研究報告(5万分の1地質図幅),地質調査総合センター,p95.
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