講演情報

[T11-O-6]常時微動観測により推定した地下構造に基づく双葉断層北部の最新活動に関する再検討

*小荒井 衛1、金子 朋紀2、長谷 海王2、先名 重樹3 (1. 茨城大学理学部、2. 鉄道・運輸機構、3. 防災科学技術研究所)
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キーワード:

活断層、常時微動観測、活断層の活動度、地下構造、双葉断層、栃窪、橲原

1.はじめに
双葉断層は、南相馬市鹿島区の真野川沿いの栃窪と上真野川沿いの橲原の2箇所で、約1.5mの垂直変位が断層露頭と低断層崖から推定されている(鈴木・小荒井;1989)。また、国土地理院の都市圏活断層図,同解説書(金田ほか,2013)や福島県(1999)によるトレンチ調査報告もある。筆者らは、これらの先行研究を参考に、新たに常時微動観測という地下構造推定手法を行い、双葉断層の最新活動について再検討を実施している(金子ほか,2025)。本発表では、その後の追加観測した結果も踏まえて再検討した結果を報告する。
2.研究手法
断層露頭の直上やトレンチ調査地点で複数の常時微動観測を実施し、S波速度構造との比較から基盤に達する深度でのS 波速度を設定した。その後、地形判読のみにより活断層の位置を推定された地域において、断層線を挟む多くの測線で常時微動観測を行い、その結果から断層位置の推定と地形発達史の検討を実施した。観測データは微動クラウド解析システム BCAS(⻑・先名,2016)を⽤いて解析し、S 波速度構造を推定した。
3.各地域の双葉断層の最新活動状況
・南相馬市栃窪地区 鈴木・小荒井(1989)で報告されている断層露頭の直上(Ⅲ面)で常時微動を計測した結果、約1.5mの基盤の垂直ズレが確認され、断層露頭での垂直変位と低断層崖の比高と調和的な結果であった。福島県(1999)による沖積面(Ⅴ面)のトレンチ調査では70cmの礫層のズレが確認されたが、Ⅴ面上での断層推定位置を挟んだ東西方向のS波速度構造を比較すると、約70cm程度の基盤のズレが確認できた。トレンチ断面では、約70cmの垂直変位の上は新たな礫層に埋められており,最新の活動で上流のみにⅣ面が形成され、その時の低断層崖が侵食されてⅤ面には変位が無いとした鈴木・小荒井(1989)の仮説とは調和的であった。Ⅲ面形成後でⅣ面形成前に1回活動があった後、Ⅳ面形成時に最新活動があったと推定した。
・南相馬市橲原地区 鈴木・小荒井(1989)と都市圏活断層図(金田ほか,2013)の地形分類との間に齟齬があり、下流部まで含めて段丘区分の再検討を行い、橲原地区と栃窪地区の対比を見直した。その結果、鈴木・小荒井(1989)の地形区分は妥当と判断した。また、Ⅲ面で新たに5点の常時微動観測を行い、金子ほか(2025)の結果と合わせて再検討を行った。その結果、鈴木・小荒井のⅡ面・Ⅲ面共に、基盤岩の垂直変位として約1.5~2mの垂直変位が確認された。この結果は栃窪の結果とは矛盾せず、Ⅲ面形成以降に2回の活動があったと考えられる。
・相馬市山上地区 都市圏活断層図では宇田川沿いの山上地区で活断層を認定している。金子ほか(2025)でも低位段丘で8点観測を行っているが、低位段丘には基盤のずれも検出されない。今回の追加計測では、低位段丘で2地点、中位段丘で5地点の観測を行った。その結果、低位段丘では基盤のズレは確認できず、中位段丘ではS波速度300m/sに達する深度が東側で2~3m程度低下している結果であった。栃窪・橲原は低位段丘で1.5m~2mの基盤の垂直変位が検出されていることと比較すると、双葉断層北方延長部である相馬市周辺の活動が、南相馬市に比して活発ではない可能性が考えられる。
・浪江市室原地区 請戸川沿岸の室原地区において、都市圏活断層図では推定活断層とした崖地形がある。金子ほか(2025)では、その崖地形と直交する東西方向で常時微動計測を行った。都市圏活断層の低位1面で、水準測量で約3.5mの東側低下の地形変位、常時微動観測で約3mの基盤の東落ちの変位が認められ、活断層の可能性が示唆される結果ではあった。中位段丘面上でも常時微動観測を行ったが、都市圏活断層図ではその崖地形は西から東に向かって山麓堆積地形と中位面との境界に位置しており、地形・基盤双方で同程度のずれは確認できたが、確実度を変更するにはさらなる検討を要すると判断した。4.謝辞ほか
本発表内容は、金子の修士論文と長谷の卒業論文の内容を元にまとめたものである。また、本研究は茨城大学と防災科学技術研究所の共同研究協定に基づいて実施した研究成果の一部である。また、科研費課題番号25K00555を研究に使用している。
引用文献
金子朋紀ほか(2025)2025年日本地理学会春季学術大会要旨集.
金田平太郎ほか(2013):国土地理院技術資料,D1-No.643,18p.
鈴木毅彦・小荒井衛(1989)活断層研究,6,23-29.
⻑郁夫・先名重樹(2016):Synthesiology,9(2),73-85.
福島県(1999)「平成 10 年度双葉断層に関する調査成果報告書」.109 p.

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