講演情報

[G-O-11]波浪卓越型湖岸の極浅水域(水深3 m未満)に発達する緩勾配侵食谷地形とその意義-琵琶湖下坂浜水中遺跡での詳細研究

*山崎 新太郎1、銭 玉2 (1. 京都大学防災研究所、2. 京都大学大学院理学研究科)
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キーワード:

極浅水域、侵食谷、側方流動、水中考古遺跡、沿岸災害

 座礁危険性および調査困難性のため、沿岸域の水深3 m未満の極浅水域における微地形の精密検討はこれまでほとんど行われていない。本研究では、琵琶湖沿岸に分布する水中遺跡群のうち地震関連と推定されるものの形成機構を解明するため、滋賀県長浜市下坂浜沖の湖沿岸域において高精度地形調査を実施した。その結果、湖岸線に対して直交ないしやや斜交する方向に発達する複数の浅い侵食谷地形の存在が明らかになった。

これら侵食谷地形は、幅100〜500 m、長さ約300 m、縦断勾配約1°という極めて緩勾配かつ広幅な形態を呈し、その底面は一部を除き砂礫で覆われる。弓なりの湖岸線、浜堤、埋没ラグーンを伴う波浪卓越型沿岸線の水底として、このような侵食谷の存在は従来の堆積地形学の枠組みでは想定困難である。

一つの谷地形内において、耕作地と推定される考古遺跡が2箇所別々に発見されたことから、当該地形が単一のイベントではなく複数回の側方流動を経て形成されたことが示唆される。谷底面における表面波探査では、隣接する湖棚部と比較して顕著な強度低下が認められ、また沿岸陸上部の地下3 m以深においては、埋没ラグーン起源と推定される低N値層の存在がスクリューウェイト貫入試験により確認された。この低強度層の空間分布と谷地形の位置が対応することから、当該層が側方流動のすべり面(弱層)として機能した可能性が高い。

これらの観測事実に基づき、本研究では極浅水域に発達する緩勾配侵食谷の形成機構として、地震動下における埋没弱層の反復液状化 → 側方流動の累積 → 地盤強度の進行性劣化 → 選択的侵食という一連のフィードバック過程を提案する。本地形は、沿岸域地盤の潜在的不安定性を示す指標であるとともに、沿岸災害予測および極浅水域における開発可能性評価において重要な地形要素であることを示すものである。

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