講演情報
[G-O-12]四国中央部・三波川変成岩分布域の地すべりにおけるボーリングコアの詳細解析
*西山 賢一1、山﨑 新太郎2、原口 強3、鈴木 雄介3 (1. 徳島大学、2. 京都大学、3. STORY)
キーワード:
ボーリングコア、X線CT、地すべり、三波川変成岩
1.はじめに 従来,地すべりの認定は,ボーリングコアの観察や地形判読,ならびに動態観測によって行われてきた.特に近年では,高品質のボーリングコアが得られるようになってきており,コアを用いた破砕度区分による地すべり移動体の特徴把握も行われるようになっている(脇坂ほか,2012).しかしながら,コアの破砕程度の地質学的記載には,どの亀裂に着目するかなどの点で個人差が生じざるを得ず,調査者の判断に基づく解釈図となっている点に問題が残る.そこで,この種の問題を解決するため,高解像度でボーリングコアの写真撮影ならびにX線撮影装置を行うことのできる装置を活用し,調査者の技量によらず,画像の生データを用いて地すべりによる移動体の破砕程度を議論できる画像診断技術を開発し,地すべり調査技術の質的向上を図ることを目的とする.
2.調査の方法 本研究では,四国内の複数の地すべり調査でのコアを対象として利用し,地質学的記載や地すべりの動態観測などの既存結果に上乗せする形で,コアの画像診断技術の適用を試みるものである.まず,コア検診車(4KRGB・X線画像)で高解像度撮影を行い,亀裂の発達程度や破砕度を可視化した.写真撮影においては,通常はコアを水でぬらして撮影することが多いが,本研究のコア検診車では水にぬらす必要はなく,乾燥コアで高解像度の写真撮影が可能である.次に,地すべりの動態観測によりすべり面と認定されているコアをエポキシ系樹脂で固化したのちに,X線CT画像撮影を実施した.これにより,コアの破砕構造をより詳細に把握・解析し、どのような弱面を用いて地すべり移動が生じているのかを判別した.これらのデータをもとに,地すべり移動体内部における岩盤破砕現象を,画像診断技術によって視覚的に把握することが可能となる.
3.結果と考察 徳島県三好市に位置する有瀬地すべり(三波川変成岩類)を例にして検討する.地すべりの動態観測によってすべり面が深度45.3m付近とされているコア(I-3 No.2 45~48m)について,4KRGB画像を見ると,すべり面付近は破砕された泥質片岩からなり,すべり面付近での傾斜は判然としないが,すべり面より40cmほど下方の不動岩盤では,片理面の傾斜は20~30°であり,しばしば白色の石英脈を介在している.同区間のコアのX線画像によれば,すべり面近傍の破砕したコアは細片状をなす画像として表現されている.なお,X線画像では,すべり面よりすぐ下方の不動岩盤の片理面はあまり明瞭には映っていないが,深度46.5m以深では,X線画像でも低角に変化した片理面が識別できる.一方,すべり面付近を長さ約15cmほど固化した試料のX線CT画像をみると,傾斜約40°ほどの明瞭な不連続面が認められ,その部分は厚さ数cmほどが角礫の集合体に変化しているものの,角礫ゾーンより下方は柱状のコア形状を呈するとともに,不連続面より上方部分は,縦亀裂が認められる塊状コアを呈する.このことから,このすべり面は変成岩の片理面(20°程度)を切断する高角の亀裂を使用して滑動したものと考えられ,それによる著しい破砕ゾーンは幅数cmと薄い.すべり面より上位の移動体および下位の不動岩盤ともに片理面の発達は明瞭ではなく,移動体は塊状だが不規則な亀裂が特徴的である.
4.まとめ 本研究の手法を用いて,地すべりボーリングコアの画像診断技術を開発することで,高品質ボーリングコアが持つ地質学的状況を詳細に抽出できる.個人の技量に依存したコアの亀裂の抽出に頼ることなく,画像データを用いたボーリングコアの詳細な破砕程度の検討が可能となる.文献:脇坂安彦・上妻睦男・綿谷博之・豊口佳之(2012)地すべり移動体を特徴づける破砕岩.応用地質,第52巻,第6号,pp.231-247.
2.調査の方法 本研究では,四国内の複数の地すべり調査でのコアを対象として利用し,地質学的記載や地すべりの動態観測などの既存結果に上乗せする形で,コアの画像診断技術の適用を試みるものである.まず,コア検診車(4KRGB・X線画像)で高解像度撮影を行い,亀裂の発達程度や破砕度を可視化した.写真撮影においては,通常はコアを水でぬらして撮影することが多いが,本研究のコア検診車では水にぬらす必要はなく,乾燥コアで高解像度の写真撮影が可能である.次に,地すべりの動態観測によりすべり面と認定されているコアをエポキシ系樹脂で固化したのちに,X線CT画像撮影を実施した.これにより,コアの破砕構造をより詳細に把握・解析し、どのような弱面を用いて地すべり移動が生じているのかを判別した.これらのデータをもとに,地すべり移動体内部における岩盤破砕現象を,画像診断技術によって視覚的に把握することが可能となる.
3.結果と考察 徳島県三好市に位置する有瀬地すべり(三波川変成岩類)を例にして検討する.地すべりの動態観測によってすべり面が深度45.3m付近とされているコア(I-3 No.2 45~48m)について,4KRGB画像を見ると,すべり面付近は破砕された泥質片岩からなり,すべり面付近での傾斜は判然としないが,すべり面より40cmほど下方の不動岩盤では,片理面の傾斜は20~30°であり,しばしば白色の石英脈を介在している.同区間のコアのX線画像によれば,すべり面近傍の破砕したコアは細片状をなす画像として表現されている.なお,X線画像では,すべり面よりすぐ下方の不動岩盤の片理面はあまり明瞭には映っていないが,深度46.5m以深では,X線画像でも低角に変化した片理面が識別できる.一方,すべり面付近を長さ約15cmほど固化した試料のX線CT画像をみると,傾斜約40°ほどの明瞭な不連続面が認められ,その部分は厚さ数cmほどが角礫の集合体に変化しているものの,角礫ゾーンより下方は柱状のコア形状を呈するとともに,不連続面より上方部分は,縦亀裂が認められる塊状コアを呈する.このことから,このすべり面は変成岩の片理面(20°程度)を切断する高角の亀裂を使用して滑動したものと考えられ,それによる著しい破砕ゾーンは幅数cmと薄い.すべり面より上位の移動体および下位の不動岩盤ともに片理面の発達は明瞭ではなく,移動体は塊状だが不規則な亀裂が特徴的である.
4.まとめ 本研究の手法を用いて,地すべりボーリングコアの画像診断技術を開発することで,高品質ボーリングコアが持つ地質学的状況を詳細に抽出できる.個人の技量に依存したコアの亀裂の抽出に頼ることなく,画像データを用いたボーリングコアの詳細な破砕程度の検討が可能となる.文献:脇坂安彦・上妻睦男・綿谷博之・豊口佳之(2012)地すべり移動体を特徴づける破砕岩.応用地質,第52巻,第6号,pp.231-247.
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