講演情報
[T16-P-6]ドローンLiDAR測量を用いた四万十付加体北川層群における層理面抽出と精度検証
*高木 大成1、森 宏1、志村 侑亮2、宿輪 隆太3、國谷 七海1、延原 香穂1、安井 悠人1、中澤 明子1、村上 大知4、出口 琢磨1、常盤 哲也1 (1. 信州大学、2. 名古屋大学、3. 五島鉱業株式会社、4. 日本工営株式会社)
【ハイライト講演】ドローンLiDARの三次元データから求めた地層の走向・傾斜は,従来のクリノメータ測定をどこまで再現できるか.本発表では,四万十帯の海岸露頭約400地点で両者を比較し,層理面抽出精度と,自動抽出に残る課題を示す.野外調査と三次元データを組み合わせ,次世代の地質調査を考える注目の発表である. ※ハイライト講演とは...
キーワード:
ドローン(UAV)、LiDAR、層理面、四万十帯、点群
近年,ドローン搭載型LiDARを用いた測量(以下,ドローンLiDAR測量)による高密度三次元点群データとそれに基づいた詳細地形データの取得が容易となり,地質学的解析への応用も発展してきている(e.g., Salomon et al., 2024; Chen et al., 2025).ドローンLiDAR測量は,急崖域をはじめとした接近困難な露頭や広範に露出する海岸露頭に対しても,高解像度かつ迅速な地形情報を取得でき,非常に有効な調査手段となりつつある(e.g., Minh and Dung, 2023).また,高分解能な微地形データが取得できれば,層理面,片理面,および断層面といった,従来地上でクリノメータを利用して取得していた面構造の遠隔測定も可能である(e.g., Dewez et al., 2016; Thiele et al., 2017).一方で,ドローンLiDAR測量から抽出された面構造の姿勢が,実際の地質構造をどの程度再現しているかについては十分に検証されておらず,まずは,野外でのクリノメータを用いた伝統的な測定手法との比較による精度評価が重要である.そこで,本研究ではドローンLiDARを用いて広域かつ連続的に観察される海岸露頭における層理面の抽出と,広域かつ大量にクリノメータで測定した地上取得データとの比較により,その精度検証を目的とした.
調査対象は宮崎県延岡市こっと丸磯海岸に露出する四万十帯古第三系の北川層群(e.g., 坂井・勘米良,1981)である.本層群は延岡衝上断層の上盤側に位置する地質体であり,整然とした砂岩泥岩互層からなる(奥村ほか,2010).また,砂岩泥岩互層を切る小断層や砂岩泥岩互層を曲げる褶曲構造が数m~数十mスケールで発達する(e.g., Raimbourg et al., 2009).層理面抽出精度の検証のための地上でのクリノメータ測定は,約400地点の層理面に対して実施した.また,クリノメータ測定地点において精密測量も行い,高位置精度の空中–地上比較を行った.
ドローンLiDAR測量においては,Matrice 350 RTKとL2(いずれもDJI社製)を使用した.測量範囲は約400 m × 400 mに設定し,対地高度60 mおよび飛行速度6 m/sでの自動航行による点群データ取得を行った.また,層理面が良好に露出する箇所もしくは急崖域については,露頭面から10–30 mの近接距離でのマニュアル飛行を追加で行い,より高密度な点群データを取得した.取得した点群データからDJI Terraを用いて三次元露頭モデルを作成した後,CloudCompare(https://www.cloudcompare.org/)上でCompassプラグインを用いて手動で選択して抽出した層理面(以下,手動抽出データ),およびFacetsプラグインを用いて自動で抽出した層理面(自動抽出データ)について,クリノメータで取得した地上測定データとの比較を行った.
ドローンLiDAR測量によって取得した高密度点群データからは数cm スケールの層理面を識別し,露頭全体にわたる層理面分布を三次元的に把握することが出来た.野外クリノメータ測定との比較では,手動抽出データの走向値は概ね一致し,良い再現性を示した.一方,傾斜値は野外クリノメータ測定結果よりも系統的に緩くなる傾向が認められた.これは,手動抽出では,設定半径内の点群を用いて最適平面を近似するため,露頭表面の微細な起伏や層理面の局所的な湾曲が平滑化されたことに起因すると考えられる.一方,自動抽出によって得られた走向・傾斜値はクリノメータ測定データと比較してばらつきが大きい.これは,層理面以外の面構造(断層面や侵食面)も抽出したことに起因すると考えられる.
以上の結果は,ドローンLiDARとCloudCompareを用いた層理面解析は,北川層群における広域的な層理面の空間分布の把握に有効である一方,傾斜値の評価や自動抽出結果の解釈には注意を要することを示唆する.また,本研究で構築した広域三次元露頭モデルは,今後,層理面と小断層や褶曲との関係を解析することで,北川層群の構造発達史を解明することが期待される.
引用文献:Chen et al., 2025, Landslides, 22, 3029–3048; Dewez et al., 2016, Int. Arch. Photogramm., Remote Sens. Spatial Inf. Sci., 41, 799–804; Minh and Dung, 2023, J. Sustain. Min., 22, 128–146; 奥村ほか,2010,地域地質研究報告(5万分の1地質図幅),50 p; Raimbourg et al., G-cubed, 10, 4; 坂井・勘米良,1981,九州大学理学部研究報告(地質学),14,31–48; Salomon et al., 2024, Seismica, 3,1; Thiele et al., 2017, Solid Earth, 8, 1241–1253.
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