講演情報

[T12-O-9]インド中原生界に産する初期真核生物の特徴・生息環境・年代

*パンディ アブヒシェク1、チャクラボルティ パルタ2、中田 亮一3、富岡 尚敬3、青木 一勝4、ダス カウシク1、白石 史人1 (1. 広島大学、2. デリー大学、3. 海洋研究開発機構、4. 岡山理科大学)
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【ハイライト講演】真核生物は約21億年前に出現し,約18~8億年前に多様化した.しかしながら,その時期の酸素濃度は,真核生物の生息に必要な量を大きく下回っていたと考えられており,矛盾が生じていた.本講演では,初期の真核生物化石を産するインドの炭酸塩岩が約16億年前のものであり,その当時,シアノバクテリアが放出した酸素を利用して真核生物が生き延びていたことなどが示される.※ハイライト講演とは...

 中原生代は、大気および海水中の酸素濃度が一貫して低かった時代として一般に特徴づけられる。そのような認識は、同時期における初期真核生物の出現および多様化と一見両立しない。この点に関して、現在の科学的見解は二分されており、一方では初期真核生物は小規模で局所的な酸素に富むニッチ環境の中で進化したとする意見があり、他方では多くの初期真核生物が、細菌やアーキアとの共生関係を通じて、無酸素(硫化物を含む)環境下で生存していたと仮定する見解もある。この相違を明らかにするため、本研究では初期真核生物微化石の産出で知られるインド亜大陸の中原生界Chitrakoot層を対象として、特に酸化還元状態に着目した古環境復元を行った。統合的な野外観察の結果、Chitrakoot層は上方に向かってペロイド質苦灰岩、上位の海緑石質砂岩、さらにその上位のTirohan苦灰岩という三つの主要メンバーから構成されることが明らかになった。堆積構造は、沿岸域に近い海域から、より深く静穏な亜潮下帯環境への上方深海化を示唆する。さらに、沿岸堆積環境に特徴的な比較的平坦なREEパターンなどの地球化学プロキシも、これらの堆積学的解釈を支持する。明瞭な負のCe異常は認められないものの、ペロイド質苦灰岩試料には明瞭な正のCe異常が見られ、沿岸海水中でCe(III)からCe(IV)への酸化が生じていたことを示唆する。これらの結果を総合すると、Chitrakoot海は全体としては還元的であったが、酸素発生型原核生物によって供給されたと考えられる局所的な酸素に富む微小環境が存在し、初期真核生物の生存および多様化に適したニッチを提供していた可能性が示唆される。本研究ではまた、沿岸環境で堆積し珪質化したペロイド質苦灰岩中から、多様な初期真核生物微化石(アクリターク)が産出することを明らかにした。これらは、Dictyosphaera macroreticulata、Shuiyousphaeridium macroreticulatum、Dictyosphaera delicata といった既知の初期真核生物分類群と形態的によく類似している。加えて、一部の内部まで珪質化したペロイドでは、保存状態の良い球状シアノバクテリアに類似した微化石が観察され、Chitrakoot海における初期真核生物と酸素発生型原核生物の密接な共存を示唆する。走査型透過X線顕微鏡に基づくナノスケール解析により、真核生物および球状シアノバクテリアの有機残留物には、それぞれで異なる有機物が含まれていることが示された。このような不均質性は、真核生物と原核生物で構成分子または代謝経路が異なっていたことを反映している可能性がある。さらに、Chitrakoot層のリン酸塩岩から産出したアパタイトのU–Pb年代測定により、堆積年代はおよそ1630–1550 Maの範囲に収まることが示された。これらの年代値は、初期真核生物の多様化が後期古原生代から初期中原生代にかけて進行したとする既存の仮説と調和的である。

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