講演情報

[T12-O-10]インド古原生界Jhamarkotra層に見られるリン酸塩ストロマトライトの形成要因とその年代★2026年度学生優秀発表賞受賞★

*佐藤 久遠1、パンディ アブヒシェク1、チャクラボルティ パルタ2、狩野 彰宏3、中田 亮一4、青木 一勝5、白石 史人1 (1. 広島大学大学院先進理工系科学研究科先進理工系科学専攻地球惑星システムプログラム、2. デリー大学、3. 東京海洋大学、4. 海洋研究開発機構、5. 岡山理科大学)
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キーワード:

リン酸塩ストロマトライト、ジャーマーコトラ層、希土類元素、酸化還元状態


 ストロマトライトは,底生微生物群集によって形成された葉理をもつ堆積物・堆積岩である.その大半は炭酸塩鉱物から構成されるが,まれにリン酸塩からなるものもある.よく研究されているリン酸塩ストロマトライトとしては,ブラジル新原生界Salitre層およびインド古原生界アラバリ超層群Jhamarkotra層の例が挙げられる.新原生代のリン酸塩ストロマトライトの形成には全球凍結が関係していると指摘されている一方で (Shiraishi et al., 2019),古原生界アラバリ超層群の堆積年代は2.1–1.7 Gaとあまり制約されていないことから (Deb and Thorpe, 2004; McKenzie et al., 2013),全球凍結であるヒューロニアン氷河期 (2.3–2.2 Ga) と関係しているかは不明である.そこで本研究は,Jhamarkotra層のリン酸塩ストロマトライトについて検討を行い,新原生界の例と比較することで,リン酸塩ストロマトライトの形成過程,およびそれが地球環境変動とどのように関連するのか明らかにすることを目的とする.
本研究では,主に世界最大のリン酸塩岩採掘場としても知られているJhamarkotra鉱山のリン酸塩ストロマトライトを研究対象とした.ここでは長さ10 km以上にわたって層厚約13–35 mのリン酸塩岩層が分布しており,しばしば褶曲によって分布が屈曲していた.変形・変成が顕著な部分ではリン酸塩岩は塊状の粉体であったり,柱状ストロマトライトが層理面に対して平行に引き延ばされていたりする一方で,変形・変成が小さい部分も一部で見られた.XRD分析の結果,ストロマトライトは主にフルオロアパタイトとドロマイトから構成される一方で,それらの間を充填する基質は主にドロマイトで構成される.薄片観察では,ストロマトライトには酸素の気泡に由来すると考えられる球状構造がみられた.実際に,いくつかのストロマトライトには真のCe負異常が見られ,これはストロマトライトを形成した酸素発生型光合成微生物によって周囲の環境が酸化的になったことを示唆している.また,ストロマトライト4試料で,LA-ICP-MSを用いたU-Pb年代測定を行い形成年代の制約を試みた.得られた年代は4試料で異なっており,古原生代から顕生代に至る多様な年代値が得られた.これはリン酸塩ストロマトライトの堆積後,複数の熱水変質や変成イベントを経験した可能性を示唆している.
以上のことから,古原生界のリン酸塩ストロマトライトは,新原生界の例と類似した堆積組織を持っており,その形成には酸素発生型光合成微生物が関与し,初生的に形成されたと考えられる.今後は,既得のU-Pb年代値と全球凍結および変成イベントとの関連を明らかにする.

引用文献
Deb M., Thorpe R.A. (2004) In: M. Deb and W.D. Goodfellow, eds., Sediment-hosted Lead–Zinc Sulphide Deposits, Narosa Publishing House, pp.246–263.McKenzie N.R., Hughes N.C., Myrow P.M., Banerjee D.M., Deb M., Planavsky N.J. (2013) Precambrian Research 238, 120–128.Shiraishi F., Ohnishi S., Hayasaka Y., Hanzawa Y., Takashima C., Okumura T., Kano A. (2019) Sedimentary Geology 380, 65–82.

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