講演情報
[T18-O-2]XRFコアスキャナーを用いた海洋堆積物乾燥かさ密度の高解像度分析
*関 有沙1、三武 司2、多田 隆治3、入野 智久4、村山 雅史5、松崎 賢史2 (1. 深田地質研究所、2. 東京大学、3. 千葉工業大学、4. 北海道大学、5. 高知大学)
キーワード:
乾燥かさ密度、XRFコアスキャナー、海洋堆積物、日本海
海洋堆積物を用いて各構成物の埋没フラックスを計算することは、過去の海洋環境変動の復元に有用である。構成物の埋没フラックスの推定には堆積物組成、堆積速度、乾燥かさ密度の3つの物理量が必要となる。乾燥かさ密度は湿潤試料の体積と重量を測定した後、試料を乾燥させて乾燥後の重量から計算される。しかし、測定に時間がかかることに加えて、海洋掘削コアなどの貴重な試料では乾燥かさ密度測定に使用できる試料の量が限られるため、その試料間隔が粗く、堆積物の組成や密度の変化を十分に反映することができない。例えば、国際統合深海掘削計画(IODP)第346次航海で採取された第四紀日本海堆積物の場合は、乾燥かさ密度の測定は数m間隔で行われていたため、数cm〜数十cmスケールで変化する岩相変化を十分に反映することができていなかった(Tada et al., 2015)。
そこでMitake et al.(2026)では、XRFコアスキャナーを用いて海洋堆積物の乾燥かさ密度の推定を非破壊・迅速・高解像度で行う新たな手法を提唱した。乾燥かさ密度を目的変数、XRFコアスキャナー分析で得られた散乱X線強度および粒子組成を反映する元素の蛍光X線強度を説明変数として、様々な説明変数の組み合わせによる重回帰分析を行った結果、散乱X線の強度比とCl/Ti比を用いて、海洋堆積物の乾燥かさ密度が高精度に推定できることを明らかにした。この手法はその原理から間隙水のCl濃度が海水とほぼ同じである堆積物には適用できる可能性が高いと考えられるが、Mitake et al.(2026)では第346次航海で採取された第四紀日本海堆積物以外での実際の検証は行われていなかった。
そこで本研究では、Mitake et al.(2026)で提唱されているXRFコアスキャナーを用いた乾燥かさ密度の推定手法を異なる2種類の試料に適用し、その適用可能性を検証した。まず、Mitake et al.(2026)で用いられた試料とは堆積年代が異なる堆積物へ乾燥かさ密度の推定手法を適用した。IODP第346次航海で掘削された中新世~鮮新世の堆積物コア試料に適用した結果、XRFコアスキャナー結果から計算された乾燥かさ密度の値は、分取試料を用いて分析された乾燥かさ密度の値とほぼ一致することがわかった。
次に、2025年8月に新青丸KS-25-10次航海で日本海北海道沖から採取されたピストコンコア試料へ同手法を適用した。KS-25-10次航海のピストンコア試料は大部分が泥質堆積物であり、泥質の部分ではXRFコアスキャナー結果から計算された乾燥かさ密度と分取試料を用いた乾燥かさ密度の分析結果はほぼ一致していた。しかし、砂質で乾燥かさ密度が高い区間では両者の結果が異なっていた。この区間は砂質で孔隙率が低い層準であったため、今後は孔隙率に対する粒度の効果も検討する必要があると考えられる。
結果として、XRFコアスキャナーを用いた乾燥かさ密度の推定手法(Mitake et al., 2026)は、砂質の堆積物に対しては検討の余地があるものの、様々な泥質堆積物に適用できることがわかった。XRFコアスキャナー分析によって堆積物全体の乾燥かさ密度を高解像度で迅速に推定することは、その後の詳細分析に用いる試料を選定するための有用な手がかりにもなることが期待される。
参考文献
Tada et al. (2015) Proceedings of the IODP, Volume 346.
Mitake et al. (2026) Progress in Earth and Planetary Science, 13:25.
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