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[T18-O-7]南極氷床融解のティッピング・カスケード:ドロンイングモードランドにおける完新世の棚氷崩壊と急速な氷床縮小

*菅沼 悠介1 (1. 国立極地研究所)
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キーワード:

南極氷床、海底堆積物、ベリリウム同位体、周極深層水

 南極氷床の融解加速とそれに伴う海水準上昇は,近未来における最大の気候リスクの一つである.しかし,南極氷床の大規模融解メカニズムには,依然として未解明の部分が多く,海水準上昇の将来予測における最大の不確定要素となっている.一方,最終氷期以降の南極氷床縮小の記録は,大規模融解メカニズムの解明に重要な知見を提供し,将来予測の不確定性を低減するうえで重要である.本発表では,ドロンイングモードランド沿岸とリュツォ・ホルム湾を対象に,陸域から海域におけるシームレスな調査で得た最終氷期以降の大規模氷床融解の復元結果を報告する(Suganuma et al., 2022; 2025).ドロンニング・モードランドでは約9,000年前以降,100〜400 mに及ぶ急速な氷床高度の低下が明らかになった.リュツォ・ホルム湾では,約9,000年前に棚氷崩壊とそれに伴う氷床流出の加速が起きたことが明らかになった.これらは,周極深層水の流入が東南極氷床の大規模後退を引き起こしたことを示すものである.また,各種モデリング解析により,淡水流入による南大洋の成層化を通じたリュツォ・ホルム湾への周極深層水流入の促進と,地域的な海水準のピークによる接地線不安定化の相乗効果が,完新世における急速な棚氷崩壊と氷床後退を駆動した可能性が高いことが明らかになった.これらの結果は,東南極氷床が海底地形・地域的海水準変動・海洋フォーシングの複合効果に対して高い感度を持つことを示しており,将来の温暖化下においても同様のティッピング・カスケードが発動しうることを示唆している.

文献
Suganuma, Y. et al. (2025). Antarctic ice-shelf collapse in Holocene driven by meltwater release feedbacks. Nature Geoscience, 18, 1216–1223.
Suganuma, Y. et al. (2022). Regional sea-level highstand triggered Holocene ice sheet thinning across coastal Dronning Maud Land, East Antarctica. Communications Earth & Environment, 3, 273.

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