講演情報

[T18-O-11]白亜紀黒色頁岩Livello Bonarelliにおける鉱物分布と微細構造

*加藤 三咲1、黒田 潤一郎1、山口 飛鳥1 (1. 東京大学大気海洋研究所)
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キーワード:

後期白亜紀、Livello Bonarelli、微小部蛍光X線分析装置、黒色頁岩、海洋無酸素イベント


 後期白亜紀セノマニアン期/チューロニアン期境界(約94Ma)直前に起こった海洋無酸素イベント2(Oceanic Anoxic Event 2: OAE2)は、代表的な海洋無酸素イベントの一つとされ、世界各地で有機炭素に富む黒色頁岩が広く堆積したことで知られている。本研究では、イタリア中部ウンブリア・マルケ地域のGorgo Cerbaraセクションに露出する、OAE2相当の黒色頁岩層であるLivello Bonarelliを対象とし、微小部蛍光X線分析装置を用いた元素マッピングを行った。

層厚約1mのLivello Bonarelliから採取した3層準の岩石スラブに対して、エポキシ樹脂包埋厚片を作製し、micro-XRF(Bruker M4 TORNADO Plus)によりAl、Si、P、S、K、Ca、Fe、Zn、Sr、Baなどの主要元素のマッピングを行った。得られた元素マップをもとに、Fe-S、Ca-P、Ca-S、Ba-Sの元素強度間に相関を示す領域を、それぞれ黄鉄鉱、アパタイト、石膏(硬石膏)、重晶石として認定し抽出することで、鉱物マップを作成した。

作成した鉱物マップでは、鉱物が粒状またはラミナ状に分布する一方で、一部の元素濃集はクラックや脈状構造に沿って分布しており、堆積後の流体移動や構造変形の影響を受けた可能性が示唆される。これらの空間分布および産状に基づき、元素濃集過程を、(1)初期堆積時の構造、(2)堆積後の酸化還元変化に伴う黄鉄鉱晶出およびリンの再移動時の構造、(3)流体移動に伴う元素再配分、(4)構造変形や地表露出後の酸化(風化)の影響、の4段階に整理した。

以上の結果は、Livello Bonarelli層中の元素分布を、初生的な堆積成分、初期続成作用、および後期の構造変形・流体移動に分けて解釈するうえで有効である。micro-XRFによる厚片スケールの元素マッピングは、OAE2黒色頁岩中に記録された酸化還元環境、生物生産、栄養塩循環、および続成過程を空間的に理解するための基礎的手法として重要である。 本発表では、Livello Bonarelliに記録された元素分布と鉱物産状に基づき、OAE2当時の海底環境および堆積後の地球化学的変化について議論する。

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