講演情報
[T10-P-8]母島海山における前弧玄武岩の可能性―既存研究のレビュー―
*夏目 樹1、道林 道林克禎2,3 (1. 神奈川県立生命の星・地球博物館、2. 名古屋大学大学院 環境学研究科(岩鉱)、3. 海洋研究開発機構 海域地震火山部門 火山・地球内部研究センター)
キーワード:
母島海山、前弧玄武岩、伊豆・小笠原・マリアナ島弧
母島海山は母島南東沖約90 kmに位置する海山で、北西南東方向に長辺を持つ長方形状の形状を示す。伊豆小笠原前弧に位置しており、海溝を挟んだ東側では小笠原海台が衝突しつつある。母島海山からは蛇紋岩化したカンラン岩やハンレイ岩に加え、火山岩類として玄武岩、安山岩、ボニナイトなどがドレッジされている(石井, 1985; Ishiwatari et al., 2006)。特に、玄武岩においては島弧玄武岩的なものから中央海嶺玄武岩的なものまで報告されている(Ishiwatari et al., 2006)。このような背景から蛇紋岩海山由来とするモデル(石井, 1985; Miura et al., 2004)、小笠原海嶺から分離したブロックに太平洋プレート由来の物質が供給されたモデル(Fujioka et al., 2005)、前弧リソスフェアの隆起モデル(Ishiwatari et al., 2006)といった様々な形成モデルが提唱されているが、形成過程については未だ明確に解明されていない。
マリアナ前弧を対象としたReagan et al. (2010) により、ボニナイトの構造的下位から中央海嶺玄武岩に類似した玄武岩が報告され、これらは前弧玄武岩として位置づけられた。その後、しんかい6500による海底調査やIODPによる海洋底掘削の成果から、伊豆小笠原前弧域における前弧玄武岩の存在と詳細な火山岩層序が明らかとなった(Ishizuka et al., 2011; Shervais et al., 2019)。しかし、母島海山の岩石学的研究は2010年以前に行われたものが多く、中央海嶺玄武岩的な組成を持つ岩石は報告されているものの、それらが前弧玄武岩であるかは十分に検討されていない。
そこで本研究では、過去に分析された母島海山の全岩化学組成データと伊豆小笠原前弧から得られた全岩化学組成データを比較することで、母島海山の前弧玄武岩について検討した。母島海山から採取された岩石の中には中央海嶺玄武岩的な化学組成を持ちつつ、中央海嶺玄武岩よりもCe/YbやTi/V、Zr/Yが低い岩石が認められた。これらの特徴は伊豆小笠原前弧の前弧玄武岩と類似するため、母島海山は前弧玄武岩含む海山であると考えられる。また、前弧玄武岩の分布は母島海山北西部と南西部に限られることが明らかになった。本発表では前弧玄武岩の分布を他の岩相分布と比較しながら、母島海山の成因について議論する。
【引用文献】 石井, 1985, 地球, 7, 680–688; Ishiwatari et al., 2006, The Island Arc, 15, 102–118; Miura et al., 2004, Geology, 32, 541–544; Fujioka et al., 2005, The Island Arc, 14, 616–622; Reagan et al., 2010, G3, 11, Q03X12; Ishizuka et al., 2011, EPSL, 306, 229–240; Shervais et al., 2019, G3, 20, 314–338.
マリアナ前弧を対象としたReagan et al. (2010) により、ボニナイトの構造的下位から中央海嶺玄武岩に類似した玄武岩が報告され、これらは前弧玄武岩として位置づけられた。その後、しんかい6500による海底調査やIODPによる海洋底掘削の成果から、伊豆小笠原前弧域における前弧玄武岩の存在と詳細な火山岩層序が明らかとなった(Ishizuka et al., 2011; Shervais et al., 2019)。しかし、母島海山の岩石学的研究は2010年以前に行われたものが多く、中央海嶺玄武岩的な組成を持つ岩石は報告されているものの、それらが前弧玄武岩であるかは十分に検討されていない。
そこで本研究では、過去に分析された母島海山の全岩化学組成データと伊豆小笠原前弧から得られた全岩化学組成データを比較することで、母島海山の前弧玄武岩について検討した。母島海山から採取された岩石の中には中央海嶺玄武岩的な化学組成を持ちつつ、中央海嶺玄武岩よりもCe/YbやTi/V、Zr/Yが低い岩石が認められた。これらの特徴は伊豆小笠原前弧の前弧玄武岩と類似するため、母島海山は前弧玄武岩含む海山であると考えられる。また、前弧玄武岩の分布は母島海山北西部と南西部に限られることが明らかになった。本発表では前弧玄武岩の分布を他の岩相分布と比較しながら、母島海山の成因について議論する。
【引用文献】 石井, 1985, 地球, 7, 680–688; Ishiwatari et al., 2006, The Island Arc, 15, 102–118; Miura et al., 2004, Geology, 32, 541–544; Fujioka et al., 2005, The Island Arc, 14, 616–622; Reagan et al., 2010, G3, 11, Q03X12; Ishizuka et al., 2011, EPSL, 306, 229–240; Shervais et al., 2019, G3, 20, 314–338.
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