講演情報
[T10-P-10]KH07-02、KR08-07およびYK09-06航海にて採取された伊豆小笠原前弧域のはんれい岩類の岩石学的特徴
*針金 由美子1,2、森下 知晃3、田村 明弘3、谷 健一郎4、石塚 治2,5、道林 克禎6,5 (1. 東京海洋大学、2. 産業技術総合研究所 地質調査総合センター、3. 金沢大学、4. 国立科学博物館、5. 海洋研究開発機構、6. 名古屋大学)
キーワード:
はんれい岩類、微細構造、鉱物主要・微量組成、伊豆小笠原前弧域、島弧形成過程
前弧は海溝とその背後にある島弧の間に位置しており、沈み込み開始とその後の島弧発達の記録を調べる上で、非常に適した場所であると考えられている。特に伊豆小笠原前弧域においては詳細な調査研究(Ishizuka et al., 2006, 2011, 2014)によって岩石層序が確立されている。岩石層序は下位から上位へ向かって、マントルかんらん岩、はんれい岩類、前弧玄武岩/シート状岩脈群、ボニナイト、安山岩、高Mg安山岩、島弧火山岩から構成される。これらの岩石の年代は下位のはんれい岩類(約52 Ma)から上位に島弧火山岩(約32 Ma)に向かって若くなる。こうした火山岩の年代学的・地球化学的研究から、Ishizuka et al.(2006, 2011, 2014)は初期島弧から現在の島弧に至る島弧形成過程のモデルを提案している。それによると初期島弧は、太平洋プレートの沈降によるアセノスフェアの上昇流から、前弧拡大の発達と前弧玄武岩マグマによる火山活動が起こる。その後、沈み込んだプレートからの脱水により、浅所でかつ高温で生成するボニナイトマグマによる火山活動を経て、安定したプレート沈み込みにおいて島弧火山岩類を形成する島弧マグマによる火山活動が生じる。岩石層序の最下位にあるマントルかんらん岩研究からは、島弧初期の前弧玄武岩マグマからその後のボニナイトマグマ形成に関連するような無水マントルから含水マントルへの遷移を示唆し、上記の島弧発達過程のモデルを支持している(Morishita et al., 2010; Harigane et al., 2013; Loocke and Snow, 2024)。しかし、島弧下部地殻を構成するはんれい岩類について、その性質や形成過程は十分に議論されていない。そこで、本研究では伊豆小笠原前弧域で採取されたはんれい岩類について、島弧下部地殻の岩石学的特徴について検討する。岩石試料は2007年から2009年に実施した航海(KH07-02、KR08-07およびYK09-06航海)によって伊豆小笠原海溝陸側斜面から採取された27試料のはんれい岩類を使用した。加えて過去研究と比較するためにKR08-07航海から採取された4試料のかんらん岩も使用した。採取されたはんれい岩類は、wehrlite、troctolite、olivine gabbro、gabbro、orthopyroxene-bearing gabbro、およびFe-Ti oxide gabbroからなる。かんらん岩は主にduniteで、一部の試料はdunite中にgabbroic veinを伴う。発表ではこれらの試料について、微細構造観察による岩石記載、構成鉱物の主要・微量組成分析の結果を紹介する。
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