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[T1-P-21]応力逆解析からみた奥羽脊梁山地南部のドーム状隆起モデルの力学的検証

*西山 成哲1、安邊 啓明2、田村 友識1、福田 将眞1、末岡 茂1、田上 高広3 (1. 日本原子力研究開発機構 東濃地科学センター、2. 産業技術総合研究所、3. 京都大学)
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キーワード:

奥羽脊梁山地、ドーム状隆起、小断層、応力逆解析、東西圧縮

【背景・目的】
東北日本弧を構成する奥羽脊梁山地の南部は、第四紀の地殻変動が明瞭な地域である。本地域における第四紀の隆起運動に関して、Sueoka et al. (2017) や Fukuda et al. (2019) などの熱年代学的アプローチにより、広域的なドーム状の隆起現象が提案されてきた。このドーム状隆起の力学的・構造地質学的なモデルとして、山地の隆起変位が単一または少数の主要な境界断層の逆断層運動のみによって賄われるのではなく、山地軸部周辺に分布する多数の小断層群の累積的な変位によって分散的に賄われているという仮説が想定される。しかしながら、地質調査に基づく露頭スケールの小断層群の活動性や、それらが示す応力状態から本モデルについての力学的な検証はされていない。本研究では、このモデルの力学的・構造地質学的な観点における妥当性を評価するため、奥羽脊梁山地南部の軸部周辺において収集した小断層スリップデータに基づき応力逆解析を実施した。
【調査手法】
Niwa et al. (2024)、Nishiyama et al. (2024) の手法にならい、対象地域における地質調査から、各露頭において確認された小断層面の走向、傾斜、および条線のレイク角、剪断センスのデータ(以降、小断層スリップデータ)を収集した。極力多くのデータを集めるため、露頭において変位が不明瞭な割れ目面や、ガウジを伴わない割れ目面であっても、条線が認められるものについては小断層としてデータを収集した。得られた小断層スリップデータについて応力逆解析を行い、小断層群を形成した応力の推定を行った。解析には、条線は確認されるが剪断センスが不明な不完全データも使用できるHough法(Yamaji et al., 2006; Sato, 2006)を適用した。
【結果・考察】
本研究では、地表踏査により137条の小断層スリップデータ(完全データは24条)を収集した。小断層スリップデータは、白亜紀花崗岩類、および中新世~鮮新世の火砕岩の地質体から取得した。応力逆解析の結果、奥羽脊梁山地南部の軸部周辺において、現在の東北地方広域で卓越する東西圧縮を示す応力状態が検出された。山地軸部の鳩峰峠周辺では、東西圧縮の他に南北圧縮の応力も同時に検出された。山地軸部から東側の領域では東西圧縮は検出されず、南北圧縮の応力が検出された。これは、過去に南北圧縮の応力を経験した結果が反映されている可能性がある(Yoshida et al., 2014)。
以上の結果は、現行の東西圧縮応力環境下において、山地軸部周辺に広く分布する小断層群が山地内部のひずみを担っていることを強く示唆している。すなわち、奥羽脊梁山地の隆起において、ひずみを一部の主要活断層周辺でのみ担っているのではなく、山地軸部周辺に分布する無数の小断層の微小なすべり運動の累積も、山地を形成する隆起に作用していることを強く支持するものである。これは、熱年代学的アプローチによる広域的な隆起・削剥速度の分布パターンから推定されたドーム状隆起モデルと矛盾しない結果である。
【まとめ】
本研究により、奥羽脊梁山地南部の軸部において小断層群から応力状態の空間分布を解明し、従来熱年代学から提案されていたドーム状隆起モデルの力学的・構造地質学的妥当性を裏付ける結果を得た。

【参考文献】
Fukuda et al., 2019, JAES, 100005.
Nishiyama et al., 2024, ESS, e2023EA003360.
Niwa et al., 2024, IAR, e12516.
Sato, 2006, Tectonophysics, pp.319-330.
Sueoka et al., 2017, EPS, 69:79.
Yamaji et al., 2006, JSG, pp.980-990.
Yoshida et al., 2014, Geological Society, vol.385 (1).

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