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[T1-P-23]乾燥砂層を使った横ずれ断層実験で見られる複数既存面のモードⅢ変位に伴う変形

*藤内 智士1、阿部 彪彩1、天野 永遠1、山田 泰広2 (1. 高知大学、2. 九州大学)
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キーワード:

横ずれ断層、模型実験

 線形破壊力学において,既存のクラックの変位は3つの基本モードで考えることが多い.この中でモードⅢは,クラック壁およびクラック端に平行な変位であり,その周囲で起こる変形(モードⅢ変形)が3次元的であるため,他のモードに比べて変形過程が複雑になりやすい.しかし,地震破壊など地殻の剪断変形においてモードⅢ変形は普遍的に起こるため,その理解は重要である.

室内実験によるモードⅢ変形の観察は,初期条件を系統的に変えた各々の実験について履歴を連続観察できることから有効である.例えばLefevre et al. (2020)は,砂層の厚さを変えて横ずれ断層実験を行い,脆性領域においては変形特性よりもその厚さの方がセグメンテーションの形に大きく影響することを指摘した.また,Visage et al. (2023)は,既存面の変位量とモードⅢ変形の関係について詳しく調べた.それらの先行研究では単一の既存面を設定して実験している.しかし,天然の横ずれ断層帯の脆性–塑性領域では,浅部に向かって歪み集中域が局在化する中で複数の剪断面でモードⅢ変形が起こると考えられる(例えば,Sibson, 1977;田中・板谷,1998).そこで本研究では,複数の既存面を設定した装置を用いて,既存面とモードⅢ変形の連動,及び脆性領域における厚さの影響に着目した室内実験を行った.

実験の手順を以下に示す.装置は,アクリル製の半箱2つを組み合わせたもので,全体の外寸は1000 mm × 430 mm × 200 mmである.これらの半箱の底に,長辺と平行にアクリル棒(8 mm × 8 mm × 800 mm)を48本敷き詰めて,その上に乾燥した豊浦硅砂を自由落下で充填した.これにより,半箱を水平に動かした際にアクリル棒同士が水平剪断して,脆性領域である砂層の複数の場所でモードⅢ変形が起こる仕組みを作った.実験は砂層の厚さを0 mm,30 mm,60 mm,90 mmと変えて行った.全ての実験について,半箱間の変位速度を0.057 mm/s,総変位量を140 mmとし,変形の様子を5秒ごとに上から連続撮影し,デジタル画像相関法(Digital Image Correlation Method: DIC)を用いて変位場の時系列データを求め歪み解析を行った.また,砂層の横から露出したアクリル棒表面も撮影,解析することで,複数の既存面と砂層表面の連動についても調べた.

いずれの実験も,アクリル棒が作る既存面に斜交する複数の亀裂が雁行状に形成して,それらが連結して複数の長大な剪断帯となっていく様子が認められた.さらに,これらの剪断帯は連結後も変位を持続した.歪み解析は,複数の既存面が不規則な不安定すべりを起こして,砂層表面の変形もそれに連動することを示した.先行研究が示す単一既存面の実験と比べた場合に,(1)既存面に斜交する複数の主剪断帯が形成される,(2)それぞれの主剪断帯はセグメント化して不規則な不安定すべりする,(3)上記の変形や運動パターンが長期にわたって継続する,といった特徴が認められた.また,層厚の違いに注目すると,砂層が厚いほど表面で確認される主剪断帯の数は少なくなり,主剪断帯ごとの連続は長くなる.本研究の実験で見られた変形の特徴は,複数の点において天然の広域単純剪断帯の変形様式と似ていることから,変形過程や多様性について今後より詳しく調べていく予定である.

引用文献
Lefevre et al., 2020, Geology, 48, 844–848.
Sibson, 1977, Journal of the Geological Society, 133, 191–213.
田中秀実・板谷轍丸,1998,科学,68,246–254.
Visage et al., 2023, Tectonophysics, 847, 229704.

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