講演情報

[T8-O-4]千葉大学理学部地球科学科のJABEEプログラムの教育的効果と問題点

*亀尾 浩司1、千葉大学 大学院理学研究院地球科学一同1 (1. 千葉大学大学院理学研究院地球科学)
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キーワード:

大学教育、地球科学、JABEE

 千葉大学理学部地球科学科を卒業し,資源系や応用地学関係の企業へ就職した学生は,実務経験を経て試験を受け,技術士の資格を取得することが一般的であった.そこで,学部卒業時に修習技術者の資格を得ることができるようにするため,当学科は2004年から日本技術者教育認定機構(JABEE: Japan Accreditation Board for Engineering Education)の教育プログラムの審査を受けるための準備を始め,2007年5月に同プログラムに認定された.その結果,2003年の入学者以降,学生には理学部地球科学科卒業時に卒業証書とともに学科の教育プログラム修了証書が授与されることになった.以来,現在まで約20年近くこの教育プログラムを継続しており,この間,855名の卒業生が技術者教育プログラム修了者として社会に出て活躍している. JABEE認定を受けた地球科学科の教育プログラムは,千葉大学理学部地球科学科を卒業するためのカリキュラムとほぼ同一であることから,学生はJABEE認定のために別の講義や実習を受講する必要はない.従って,千葉大学理学部地球科学科においては,一般教養に相当する普遍教育から地球科学科の専門教育までのすべての授業科目が,学習・教育目標に基づいて区分・位置づけられ,学生はプログラム修了者に必要な知識・能力を体系的に習得できるようになっている.これらのカリキュラムやJABEEに関する情報は,すべて履修要項やウェブサイトで広く周知されている. 千葉大学理学部地球科学科には,地球内部科学講座,地球表層科学講座,そしてリモートセンシング科学講座の3つの教育講座がある.これらのうち,地球内部科学講座と地球表層科学講座は,層序学,地形学,雪氷生物学,地球化学,岩石・鉱物学,地球物理学,構造地質学などの基幹的地球科学分野をカバーしている.これに加えて,千葉大学の共同利用・共同研究拠点である環境リモートセンシング研究センターの専任教員の一部も,おもに環境リモートセンシング講座として理学部地球科学科の教育に当たっており,より多様な視点から地球科学の教育を実施していることも当学科の教育プログラムの特徴である. 千葉大学理学部地球科学科がJABEE認証を受けて以降,教育を実施する側としては,JABEE審査で求められる資料を常に用意する必要があるために,よりPDCAサイクルを意識するようになったことが大きな変化であると言える.最近,大学の教育評価においてアセスメントが実施されるようになったが,地球科学科ではJABEE導入とともに各科目のチェックを行い,客観性を担保するようにしていることから,JABEEを導入していない学部,学科にくらべて教育に関する質的な保証を担保していると考えている.また,前述の通り,学部卒業のために取得すべきカリキュラムと,JABEE認定プログラムはほぼ同一であることから,学生が特別な負担を必要としていないことも,学生にとっての利点の一つと言える.さらに,一昨年度,卒業生にアンケートを取ったところ,卒業後に資格を持っていたことが役立っているという回答が予想よりも多く,JABEEプログラムの実利的効果も十分にあるものと思われる.一方,今後とも持続可能な制度としてJABEE教育プログラムを維持するためには,いくつかの問題点もある.一つは,予算,人員の削減によって,無理なくプログラムを継続することが難しくなる恐れがあることである.また,首都圏に位置する当大学に特別な事情と言えるが,学ぶ学生は「地元」という概念に乏しいように見受けられ,地元企業への就職が多くはない.そのため,地元の企業とのつながりが薄く,近傍からの社会的要請をくみ取り切れていないという点もあげられる.さらに,最近では,資源系業種やコンサルティング業務などの専門性の高い職種を選ぶ学生が極端に減ってしまっているということも,懸念点の一つである.今後は,学科としてJABEEプログラムを実施していることの利点を生かし,人員の減少などに対処するために,これまで以上に外部の教育機関や企業との連携を模索していく必要があると考えている.

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