講演情報
[T8-O-5]学位プログラム制下における地質学教育の質保証と継承―新潟大学地質科学プログラムのJABEE認定教育を事例として―
*栗原 敏之1 (1. 新潟大学理学部理学科地質科学プログラム)
キーワード:
野外地質学教育、学位プログラム制、教育の質保証、JABEE認定、レイトスペシャライゼーション
現代社会では,環境・資源エネルギー問題,自然災害等への対応が重要性を増すなか,地球科学の知見を社会的課題の解決に活かす人材の育成が求められている.新潟大学理学部地質科学プログラムでは,こうした社会要請に応えるため,総合的視点に立った地質学的課題の解決能力を身に付け,計画性・協調性・実行力・倫理観をもって,地球科学の研究,土木・資源開発,防災・環境保全等の分野で活躍できる人材の育成を目標としている.
こうした人材育成を支える仕組みとして,地質科学科であった2004年度に「地質エンジニアリングコース」と「地質学専修コース」の2コース制を導入した.このうち地質エンジニアリングコースは2005年度にJABEE認定を受け,以後,地質学諸分野の基礎的力量と,地質技術者として社会に貢献するために必要な素養を体系的に育成する教育課程として運営されてきた.2017年度には,理学部の1学科・学位プログラム制への移行に伴って地質科学プログラムに改組されたが,JABEE基準に対応した学習・教育到達目標と教育の質保証の考え方は継承されている.
地質科学プログラムの教育課程は,学習内容に応じて,第1学年から第2学年前期,第2学年後期から第3学年,第4学年の3期に分けて編成されている.第1期では,大学での主体的な学習態度,広範な基礎知識,語学・コミュニケーション能力を育成し,第2期では,専門科目と野外・室内実習を通じて,地質体の物質的性質,三次元構造,歴史性を理解する能力を養成する.第3期では,課題研究を通じて,課題設定,調査・分析,結果の総合解釈,発表に至る一連の理学的考究を実践する.このように,地質科学プログラムの教育は1年次から段階的に設計されている.一方,地質エンジニアリングコースは,学科時代より3年次進級時に選択する履修コースとして運用されてきたため,学位プログラム制への移行後には,JABEE認定コースの制度的位置づけを,プログラム全体の段階的教育課程の中で再整理する必要が生じた.しかし,1年次から4年次までの履修モデル,学習・教育到達目標と各科目の対応,集大成的科目の評価方法の整備を通じて,JABEE認定に基づく教育内容と質保証の実質は維持されている.
JABEE認定コースの運営は,学生のキャリア形成に一定の効果をもっている.専門科目や野外実習に加えて,企業見学,現場見学,技術者との接点などを通じて,地質学の専門性が社会の中でどのように活かされるのかを学生が具体的に意識する機会が多い.そのため,学生は卒業後の進路を漠然と考えるのではなく,建設コンサルタント,資源,防災などの職業分野を比較的早い段階から意識しながら学修を進める傾向がある.
JABEE認定を受けた教育プログラムを運営していることは,学内外の教育プロジェクトを構想する上でも有効に作用している.たとえば,大学の世界展開力強化事業のように,教育プログラムが関わる外部資金を申請する際には,当該プログラムが教育の質をどのように保証し,学修成果をどのように評価・改善しているのかを説明することが求められる.JABEE認定コースでは,こうした質保証の仕組みを日常的に整備しているため,教育プロジェクト設計においても,教育の質保証を具体的に示しやすい.
JABEE認定は,教育内容・教育水準を明文化し,継続的な改善を通じて社会に対して教育の質を示す仕組みである一方,その維持には記録管理,学修成果の点検,カリキュラム改善,教員間の役割分担など,運営上の負担も小さくない.また,大学全体の内部質保証と分野別認証評価をどのように結びつけるかも課題である.さらに,レイトスペシャライゼーションや学位プログラムの統合が進むなかでは,学生が幅広い学問分野に触れる機会を確保しつつ,各専門分野が担ってきた人材育成目標,教育課程,評価方法をどのように継承し,可視化するかが重要となる.本発表では,新潟大学地質科学プログラムの事例をもとに,学位プログラム制のもとで地質学教育の質をどのように保証し,これまで培ってきた教育上の蓄積を今後の人材育成にどのように活かすかについて考える.
こうした人材育成を支える仕組みとして,地質科学科であった2004年度に「地質エンジニアリングコース」と「地質学専修コース」の2コース制を導入した.このうち地質エンジニアリングコースは2005年度にJABEE認定を受け,以後,地質学諸分野の基礎的力量と,地質技術者として社会に貢献するために必要な素養を体系的に育成する教育課程として運営されてきた.2017年度には,理学部の1学科・学位プログラム制への移行に伴って地質科学プログラムに改組されたが,JABEE基準に対応した学習・教育到達目標と教育の質保証の考え方は継承されている.
地質科学プログラムの教育課程は,学習内容に応じて,第1学年から第2学年前期,第2学年後期から第3学年,第4学年の3期に分けて編成されている.第1期では,大学での主体的な学習態度,広範な基礎知識,語学・コミュニケーション能力を育成し,第2期では,専門科目と野外・室内実習を通じて,地質体の物質的性質,三次元構造,歴史性を理解する能力を養成する.第3期では,課題研究を通じて,課題設定,調査・分析,結果の総合解釈,発表に至る一連の理学的考究を実践する.このように,地質科学プログラムの教育は1年次から段階的に設計されている.一方,地質エンジニアリングコースは,学科時代より3年次進級時に選択する履修コースとして運用されてきたため,学位プログラム制への移行後には,JABEE認定コースの制度的位置づけを,プログラム全体の段階的教育課程の中で再整理する必要が生じた.しかし,1年次から4年次までの履修モデル,学習・教育到達目標と各科目の対応,集大成的科目の評価方法の整備を通じて,JABEE認定に基づく教育内容と質保証の実質は維持されている.
JABEE認定コースの運営は,学生のキャリア形成に一定の効果をもっている.専門科目や野外実習に加えて,企業見学,現場見学,技術者との接点などを通じて,地質学の専門性が社会の中でどのように活かされるのかを学生が具体的に意識する機会が多い.そのため,学生は卒業後の進路を漠然と考えるのではなく,建設コンサルタント,資源,防災などの職業分野を比較的早い段階から意識しながら学修を進める傾向がある.
JABEE認定を受けた教育プログラムを運営していることは,学内外の教育プロジェクトを構想する上でも有効に作用している.たとえば,大学の世界展開力強化事業のように,教育プログラムが関わる外部資金を申請する際には,当該プログラムが教育の質をどのように保証し,学修成果をどのように評価・改善しているのかを説明することが求められる.JABEE認定コースでは,こうした質保証の仕組みを日常的に整備しているため,教育プロジェクト設計においても,教育の質保証を具体的に示しやすい.
JABEE認定は,教育内容・教育水準を明文化し,継続的な改善を通じて社会に対して教育の質を示す仕組みである一方,その維持には記録管理,学修成果の点検,カリキュラム改善,教員間の役割分担など,運営上の負担も小さくない.また,大学全体の内部質保証と分野別認証評価をどのように結びつけるかも課題である.さらに,レイトスペシャライゼーションや学位プログラムの統合が進むなかでは,学生が幅広い学問分野に触れる機会を確保しつつ,各専門分野が担ってきた人材育成目標,教育課程,評価方法をどのように継承し,可視化するかが重要となる.本発表では,新潟大学地質科学プログラムの事例をもとに,学位プログラム制のもとで地質学教育の質をどのように保証し,これまで培ってきた教育上の蓄積を今後の人材育成にどのように活かすかについて考える.
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