講演情報

[T8-O-9]地質系企業の将来デザイン-産学協働による取組み-

*清水 公二1 (1. (株)ニュージェック)
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【ハイライト講演】地質系企業では現状,地質系の高等教育の卒業・修了者が不足しており,多くの就職者を期待している.地質系企業では専門知識だけでなく,問題解決能力やコミュニケーション能力などを継続的に自己開発できる技術者を求めている.そのため,大学・企業での技術者教育にJABEE基準との整合性を図ることや,技術者として将来デザイン(目指したい技術者像)を構築するために大学との情報の共有化が求められている. ※ハイライト講演とは...

キーワード:

地質系企業、将来デザイン、技術者教育、産学協働、JABEE

地質系企業の将来デザイン-産学協働による取組み-
【要旨】地質系企業において人材の確保は喫緊の課題であるが、今後、地質系学科卒業生、大学院修了生の減少は避けられない。本稿では、地質系企業の将来デザイン(継続・発展を図る上で重要な将来計画)を整理し、魅力ある技術者教育の実践という側面から産学協働の取組みについて提言する。
【発表構成】
1.地質系企業の現状
2.就職状況
3.地質系企業の課題
4.必要とされる技術者の能力
5.企業が求める技術者の能力とJABEEとの関係
6.期待する卒業生(修了生)の資質
7.大学教育への期待
8.産学協働による取組み
【発表内容】
1.地質系企業の現状地質系企業は、建設コンサルタント、地質調査業、測量業、補償コンサルタント等がある。地質技術者の就業者数は概算では5万人以下であり、今の社会構造を維持する場合、社会人人生50年とすれば毎年1,000名の地質技術者の新規参入が必要ということになる。
2.就職状況
地質系学科卒業者の実数を仮に1500名とすると、専門就職者は約450名、建設系就職者は約250名と推計される。専門就職者で見ると、毎年1,000名の地質技術者の参入が必要という数を基本とすると、必要数の半数に満たない。
3.地質系企業の課題
建設系(土木・建築)就職者250名の内訳は、地質調査業40%、建設コンサルタント30%、官公庁10%、建設会社(ゼネコン)5%、その他15%、と想定される。多くの地質調査業、コンサルタント、ゼネコン等が新入社員を求めて企業間で人材の取り合いが生じている。中央企業に集中する傾向があり地元企業が苦戦している。
4.必要とされる技術者の能力
地質系企業が進むべき企業像としては、
①「計画~調査~設計~施工~維持管理」の各段階で他部門と連携して最適・最善の結果を導く集団となる
②計画・設計など“上流部”に深く関わることでトータルコストの縮減に大きな役割を果たせるようになる
等があり、きめ細かな地質・地盤情報を提供し合理性・説明性を向上させることが求められている。地質系企業が求める地質技術者の能力としては、業務受注に必要な能力、連携した業務遂行に必要な能力があり、技術者の個別能力としては、問題対応能力(企画力、発想力、構想力、情報収集力、分析力、問題発見力、問題解決力、判断力、遂行力(工程管理))、人間対応能力(コミュニケーション力、プレゼンテーション力、説得力、交渉・調整力、合意形成力、マネジメント力、行動力、リーダーシップ力、教育・指導力等)がある。
5.企業が求める技術者の能力とJABEEとの関係
企業が求める技術者の能力(問題対応能力および人間対応能力)と技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)には多くの共通項がある。また、技術士に求められる資質能力とJABEE修了生が身につけている知識と能力(JABEE 学習・教育到達目標)にも共通項が多く、企業が求める技術者の能力はJABEE基準に通じるという関係性が見える。
6.期待する卒業生(修了生)の資質
地質系企業が期待する卒業生(修了生)の資質をまとめると、
①スタートラインに着くに当たっての最低限の事項を身に着けている
②自己の能力開発を継続的に維持・向上できる技術者としての素養を身に着けている
ことが挙げられる。
7.大学教育への期待
以上から、大学教育への期待としては、
① 基本となる地質分野の素養と問題解決に向けた情報収集力が身についている
② 問題解決力、コミュニケーション力、論理的で柔軟な考え方に基づくマネジメント力が期待できる
③ 広い分野の技術に抵抗なくアプローチでき、種々の技術を統合する合意形成力が身についている
④ 技術と社会との関わりを常に意識し行動できる
とまとめることができる。現地調査等の即戦力は重要であるが、企業側で適切な対応(OJT)の仕組みを構築しており必須ではない。地質系企業としては、健全な人員バランスの中で、技術の輪を受け継いでいく「担い手」を求めているという実態がある。
8.産学協働による取組み
①企業が求める技術者とJABEE基準との整合性
JABEE修了生が企業に所属し始めてから20年近い。JABEEの理念を習得した人員が企業の要職に就くことで、企業側の理解がさらに進むことが期待できる。JABEE基準の延長線上に企業が求める資質能力があることを認識し、体系的な人材教育体制の構築が必要となる。大学はJABEEの理念を身に着けた卒業生が、将来どのようにキャリアアップしていくかを見通して学生の素養を磨き、それに応えて企業側はどのように育てていくか、という役割分担が始まる。
②キャリアデザインの共有化
地質を学んだ人材は地質系で生涯通すだけでなく、多様なスキルとデザイン力、統合力、コミュニケーション力を発揮して他分野にも通じるリーダーとなる道筋が見えている。全体統合型人材の育成、多様なキャリアパスの提供等、企業側で変化・対応していくべき課題も多く、今後は大学との情報共有が益々必要となる。

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