講演情報

[1L07]科学技術分野の大学教員の留学を通じて形成される国際学術協力関係のメカニズムに関する実証研究~日本とインドネシアを事例として~

*梅宮 直樹1、*萱島 信子2 (1. 上智大学、2. JICA緒方貞子平和開発研究所)

キーワード:

国際学術協力、留学、高等教育、インドネシア

グローバル化の進展に伴い、学術の世界でも国境を越えた研究活動や教育活動が急速に拡大している。世界の留学生数はこの25年間で4倍近く増え2025年には760万人に達すると予想され(OECD統計)、2021年には世界の科学技術分野の論文の約30%が国際共著となっている(クラリベト社web of Scienceデータ)。国境を越えた学術ネットワークに参加して国際的な教育・研究活動を行うことが、世界に有用な知の生産と次世代の育成には重要であり、日本政府も「国際頭脳循環」促進の名のもと、日本人研究者の国際経験の涵養、優秀な外国人留学生の獲得と日本定着、国内におけるトップレベルの研究拠点の構築などの施策を積極的に進めている。こうした環境のもと、日本の大学の大学院は主にアジアから多くの留学生を受入れ、さらに、学位取得後に母国に帰国した卒業生を通じてアジア諸国との学術交流を促進する例も多い。
 そこで、本研究においては、インドネシアのトップ大学であるガジャマダ大学(UGM)とバンドン工科大学(ITB)の科学技術分野の教員を事例として取り上げ、彼らの博士号取得のための日本留学とその後の日本との学術協力の関係を分析する。UGMとITBの教員を対象に行った質問紙調査の量的データと、UGM・ITBに加えて日本のパートナー大学の教員に対するインタビュー調査の質的データの両面から、教員の日本への留学がどのようにして行われ、そこで培われた指導教員との師弟関係がその後の長期的な国際学術協力にどのように発展しているのか(いないのか)、またその際の促進要因や阻害要因はどのようなものであったのかなどを明らかにする。本研究は、日本への留学を通じて形成される日本と東南アジア諸国との国際的な学術協力のメカニズムの存在に光を当てるものである。

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