講演情報
[1O02]バヌアツ共和国における小学生の身体活動に対する楽しさの向上を意図した日本の鬼ごっこへの取り組み―都市部と地方都市との比較を通して―
*青山 翔1 (1. 国立大学法人山口大学)
キーワード:
JICA海外協力隊、しっぽとり鬼ごっこ、t検定
子どもの身体活動の低さは将来の肥満や心血管疾患の危険因子となるため注意が必要である(Gutin & Owens, 1996)。身体活動に対する楽しさの向上は身体活動を高めるために有効である(Sallis et al., 2000)。本研究では肥満の増加が社会問題となっているバヌアツ共和国の小学生を対象として、日本の鬼ごっこへの取り組みが身体活動に対する楽しさの向上に繋がるのかについて都市部と地方都市との比較を通して明らかにすることを目的とした。2025年6月にバヌアツ共和国の都市部で首都ポートビラ市内にあるKawenu小学校の6年生38名(男子20名, 女子18名;平均年齢11.3歳,標準偏差0.3)と地方都市にあるLakatoro小学校の6年生32名(男子14名, 女子18名;平均年齢11.3歳,標準偏差0.3)を対象とした。対象者は30分間しっぽとり鬼ごっこに取り組んだ。しっぽとり鬼ごっこによる介入前後に、身体活動の楽しさを測定する尺度であるPACES(Moore et al., 2009)による調査を対象者に実施した。回答には5段階リッカート尺度を用いた。都市部と地方都市それぞれの回答結果について、介入前後のPACESの結果の違いを検討するために対応のあるt検定を行った。その結果、地方都市について、介入後(MD = 63.13, SD = 8.12)が介入前(MD = 56.66, SD = 6.23)よりも有意に向上した(p < .001)。都市部について、介入前(MD = 60.76, SD = 6.08)と介入後(MD = 61.50, SD = 6.36)に有意な差が見られなかった。本結果から、鬼ごっこに取り組むことによる身体活動に対する楽しさについて、地方都市にある小学校(JICA海外協力隊不在)の6年生には介入効果が見られたが、都市部で首都にある小学校(JICA海外協力隊在中)の6年生には介入効果が見られなかったことが明らかになった。
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