講演情報
[1O06]日本におけるESDの真義についての理解
-日本の新聞紙面上におけるESDの説明に着目して-
*瀧口 綾音1 (1. 東北大学)
キーワード:
持続可能な開発のための教育
現在ESD for 2030が推進されているが、内実に疑問が呈されてきた。国際的な議論では、既存のESDは構造的・政治的な問題を避け、批判的な視点を欠き、個人の価値観や行動に焦点を狭め、結果的に現状の再生産に寄与していると批判された。これに関し、国内でも永田(2020, p13)がESDの真義として「開発もしくは持続可能な開発自体を批判的に問い直すような対話の文化を創出するところ」を指摘した一方、近年の実践事例及び政策文書においてその側面は強調されていない。
以上を踏まえ、日本におけるESDの真義についての理解状況を明らかにすることを本研究の目的とする。そして①ESDは、開発、持続可能な開発、そしてSDGsとどのように関係付けて理解されているのか、②ESDの真義はESDの理解においてどのように反映または不可視化されているのかを研究の問いとして設定する。
本研究はESD for 2030発布後(2019年12月19日以降)の新聞におけるテーマ分析を行う。全国紙のうち総合紙である朝日新聞と、経済紙である日本経済新聞を用い、題と本文に「ESD」または「持続可能な開発のための教育」という語句が含まれている合計56件の記事を選出した。新聞紙面の分析は、ESDの理解傾向を広く把握する手がかりになる。
分析の結果、ESDにおいて既存の開発観やSDGsを問い直す視点は両紙共に強調されていない。具体的には、持続可能な開発や持続可能な社会の実現、SDGs達成の手段としてESDは理解された。特に学校現場はESD実践の題材としてSDGsを挙げ、ESDは既存の開発観やSDGsを所与の前提とするものとして理解されている。開発や持続可能な開発自体を批判的に問い直すような対話が欠けているこの状況を踏まえると、日本におけるESDの理解においては、その真義が不可視化されていると解釈できる。
以上を踏まえ、日本におけるESDの真義についての理解状況を明らかにすることを本研究の目的とする。そして①ESDは、開発、持続可能な開発、そしてSDGsとどのように関係付けて理解されているのか、②ESDの真義はESDの理解においてどのように反映または不可視化されているのかを研究の問いとして設定する。
本研究はESD for 2030発布後(2019年12月19日以降)の新聞におけるテーマ分析を行う。全国紙のうち総合紙である朝日新聞と、経済紙である日本経済新聞を用い、題と本文に「ESD」または「持続可能な開発のための教育」という語句が含まれている合計56件の記事を選出した。新聞紙面の分析は、ESDの理解傾向を広く把握する手がかりになる。
分析の結果、ESDにおいて既存の開発観やSDGsを問い直す視点は両紙共に強調されていない。具体的には、持続可能な開発や持続可能な社会の実現、SDGs達成の手段としてESDは理解された。特に学校現場はESD実践の題材としてSDGsを挙げ、ESDは既存の開発観やSDGsを所与の前提とするものとして理解されている。開発や持続可能な開発自体を批判的に問い直すような対話が欠けているこの状況を踏まえると、日本におけるESDの理解においては、その真義が不可視化されていると解釈できる。
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