講演情報
[1O07]複数の親の協力がもたらすセーフティネット機能向上の可能性
*梅津 綾子1、*田中 宏哉 (1. 名古屋大学大学院/南山大学)
キーワード:
子どもの貧困、子の移動、慣習的養取、数理モデル
貧困の撲滅は持続可能な開発目標のひとつである。特に子どもは、大人よりも貧困に陥りやすいという課題がある。子どもの貧困をなくすために、公的扶助とともに、地域に根ざした草の根活動が求められている。本研究では、西アフリカのハウサ社会でみられる慣行的養取リコについて、文化人類学の観点から考察すると共に、その知見の一般性を、数理モデルを用いて検証する。
ハウサ社会では、親族・姻族(また稀に親友の子も)を引き取り育てる慣行が一般的に行われている。育ての親は子を育てることで、社会的に親として尊重される。一方子の出生上の帰属に変化はなく、生みの親と育ての親子の交流は維持される。育ての親が生みの親から金銭的支援を受ける場合すらある。生みの親子の関係性が維持されるためか、子の引き渡しに対する生みの親の心理的ハードルは比較的低い。
本発表では、育ての親が生みの親の経済的支援を受ける事例の報告を通して、関係が良好な二組の「親」の存在が、子の「二重のセーフティネット」を形成することを指摘する。また、慣習的養取の簡易な数理モデルを用いて、子の移動がもたらす経済的なセーフティネット機能を定量的に評価する。本研究が目指す多元的な親子関係の解明は、子どもの貧困に対する福祉上の効果の観点から、子どもの貧困問題を解決する上での一助になると思われる。
ハウサ社会では、親族・姻族(また稀に親友の子も)を引き取り育てる慣行が一般的に行われている。育ての親は子を育てることで、社会的に親として尊重される。一方子の出生上の帰属に変化はなく、生みの親と育ての親子の交流は維持される。育ての親が生みの親から金銭的支援を受ける場合すらある。生みの親子の関係性が維持されるためか、子の引き渡しに対する生みの親の心理的ハードルは比較的低い。
本発表では、育ての親が生みの親の経済的支援を受ける事例の報告を通して、関係が良好な二組の「親」の存在が、子の「二重のセーフティネット」を形成することを指摘する。また、慣習的養取の簡易な数理モデルを用いて、子の移動がもたらす経済的なセーフティネット機能を定量的に評価する。本研究が目指す多元的な親子関係の解明は、子どもの貧困に対する福祉上の効果の観点から、子どもの貧困問題を解決する上での一助になると思われる。
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