講演情報
[1O22]災害後の住居移転を経験した若者の教育と定住意識:フィリピン・タクロバン市の事例
*岡本 京子1 (1. 神戸大学)
キーワード:
災害後の住居移転、災害後の教育復興、定住意識、ソーシャルキャピタル
近年、気候変動に伴う自然災害の増加により、世界各地で被災者をより安全な地域へ移す住居移転政策が拡大している。しかし、そのより良い在り方については議論の余地があり、とりわけ教育環境や地域への定着条件を長期的な視点から検討した研究は限られている。
本研究は、2013年のスーパー台風ハイヤンで甚大な被害を受けたフィリピン・タクロバン市の再定住政策を対象とし、移転から約10年を経た住民の経験を通じて、教育と定住に関する課題を明らかにすることを目的とする。調査では、フィールドでの半構造化インタビューと参与観察を実施し、移転当時に子どもや若者であった住民に加え、保護者、教師や学校関係者を対象とした。分析では、①住居移転が若者の教育機会や学習環境に与えた影響、②学校や教師が果たした支援や適応の役割、③家庭・学校・地域の関係性が住民の生活再建や地域への帰属意識に与えた影響、の三点に焦点を当てる。
本研究の特徴は、移転から10年という長期的な時間軸のもとで複数の視点を取り入れ、若者の教育的経験と地域への定住意識を多角的に明らかにする点にある。従来研究が災害直後の短期的課題に焦点を当ててきたのに対し、本研究は中長期的な視点から被災後の住居移転がもたらす影響を検討し、災害後の再定住政策における教育環境の整備と地域定着支援のあり方を考察するための基盤を提示する。得られる知見は、災害復興研究に新たな視座を与えるとともに、気候変動時代の防災・教育政策の改善に資する実務的示唆を提供する。
本研究は、2013年のスーパー台風ハイヤンで甚大な被害を受けたフィリピン・タクロバン市の再定住政策を対象とし、移転から約10年を経た住民の経験を通じて、教育と定住に関する課題を明らかにすることを目的とする。調査では、フィールドでの半構造化インタビューと参与観察を実施し、移転当時に子どもや若者であった住民に加え、保護者、教師や学校関係者を対象とした。分析では、①住居移転が若者の教育機会や学習環境に与えた影響、②学校や教師が果たした支援や適応の役割、③家庭・学校・地域の関係性が住民の生活再建や地域への帰属意識に与えた影響、の三点に焦点を当てる。
本研究の特徴は、移転から10年という長期的な時間軸のもとで複数の視点を取り入れ、若者の教育的経験と地域への定住意識を多角的に明らかにする点にある。従来研究が災害直後の短期的課題に焦点を当ててきたのに対し、本研究は中長期的な視点から被災後の住居移転がもたらす影響を検討し、災害後の再定住政策における教育環境の整備と地域定着支援のあり方を考察するための基盤を提示する。得られる知見は、災害復興研究に新たな視座を与えるとともに、気候変動時代の防災・教育政策の改善に資する実務的示唆を提供する。
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