講演情報
[2G-01]塩麹添加食パン生地の製パン特性
〇京極 奈美1,2、谷口 明日香1、小林 理恵1 (1. 東京家政大、2. 金沢学院短期大学)
キーワード:
塩麹、食パン、酵素活性、圧縮後の回復性
【目的】我々は塩麹のもつ酵素の新たな活用法として、食パンの小麦アレルゲンの低減化を検討してきたが、これには課題が多いことが明らかとなった。しかし、塩麹添加食パンは品質が良好であることが示唆されたため、その製パン特性を評価した。【方法】前報と同様に、酵素活性が異なる市販塩麹3種を使用し、ホームベーカリーを用いて食パンを調製した。塩麹の添加量は一定にし、食塩と水分量を調節した。対照試料は塩麹を入れない基準食パンとした。食パンの膨化性に関与するドウ生地のガス発生量はファーモグラフにより測定した。各食パンクラムの物性は2バイトテクスチャー試験における歪率10%時の応力および1回目圧縮時の回復性を比較し、電子顕微鏡による食パンの構造観察と併せて評価した。また、訓練された調理科学研究室員により分析型官能評価(5段階評点法)を行った。【結果】ドウ生地のガス発生量および保持力ともに、基準食パンと比較して塩麹添加食パンで少なかった。また、塩麹添加食パンはクラムの歪率10%時の応力が基準食パンより低く、圧縮時の変形が回復しにくかった。官能評価では、一部の塩麹添加食パンで有意に麹臭が強く、やわらかく、噛み込み時につぶれやすかった。また全ての塩麹添加食パンで焼き色が濃く、甘味としっとり感が強いと評価された。これらは、塩麹の酵素作用の違いがグルテン構造やデンプン分解の程度に差を生じさせ製パン特性に影響したものと考える。