講演情報

[2G-04]微粒子化おからが分離大豆たん白のゲルを形成する分子間力に与える効果

〇長野 隆男1 (1. 石川県大)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

微粒子化おから、分離大豆たん白、ゲル

目的 これまでに私たちは,湿式グラインダーを用いておからの微粒子化を行うと,分散性が向上し粘度が高くなることを明らかにした.今回,微粒子化おからが分離大豆たん白(SPI)のゲル物性とそのゲルを形成する分子間力に与える影響について検討した.
方法 おから試料には脱脂おから(ニュープロプラス1000、不二製油),SPI試料にはフジプロF(不二製油)を使用した.おからの微粒子化は,湿式グラインダーを使用した.ゲルの力学物性測定は,テクスチャーアナライザを用いて圧縮試験を行った.ゲルを形成する分子間力の測定では,4種類の溶液(S1, 0.6 M NaCl; S2, 0.6 M NaClと1.5 M 尿素; S3, 0.6 M NaClと8.0 M 尿素; S4, 1.0 M NaOH)にゲルを加え,ホモジナイズ処理を行った後に遠心で上清を得た.得られた上清のタンパク質量をBCA法により求めた.
結果 おからを加える量をSPIに対して3%,5%,10%,15%と変えて,ゲルを作製した.その結果,微粒子化おからを加えたSPIゲルは,おからを加えたSPIゲルと比べて破断応力が高く,溶液S3で溶出したタンパク質量が低い結果であった.さらに,破断応力と溶液S3で溶出したタンパク質量の間には負の相関(R = -0.93)が見られた.以上の結果から,微粒子化おからがSPIゲルの破断応力を高くする理由として,ゲルを形成している疎水性相互作用を強くすることが考えられた.