講演情報

[2G-08]イチゴアレルゲンの加熱による構造変化の解明

〇西野 真弥1、野田 響子1、石橋 美咲2,3、宇野 雄一3、新田 陽子1 (1. お茶の水女大、2. 京都大、3. 神戸大)
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キーワード:

PR-10タンパク質、シラカバ花粉アレルギー、Bet v 1ホモログ、食物アレルギー、口腔アレルギー症候群、タンパク質安定性

目的 イチゴは生食や菓子に利用される身近な果物である.しかし,イチゴには口腔アレルギー症候群(OAS)の原因となるPR-10タンパク質に属するアレルゲンFra a 1が含まれており,30のアイソフォームのうちFra a 1.01とFra a 1.02が主要アレルゲンであると推定されている.一部のPR-10タンパク質では,加熱により低アレルゲン化する可能性が報告されているが,その低アレルゲン化の機序や要因について構造レベルでの研究は少なく,不明な点が多い.そこで本研究では, Fra a 1.01とFra a 1.02の加熱による立体構造の変化を調べた.
方法 精製したFra a 1.01,Fra a 1.02組換えタンパク質を80℃までの各温度で加熱し25℃に冷却した.各サンプルについて,260~190nmの円偏光二色性(CD)スペクトルを測定した.また,窒素原子を15Nに置換した組換えタンパク質を用意し,各温度で加熱後25℃に冷却したサンプルで1H-15N HSQC NMRスペクトル測定を行い,加熱による立体構造の変化を検討した.
結果 CDスペクトル測定において,80℃まで加熱後25℃に冷却すると,加熱前のスペクトルと完全には一致せず,加熱によるタンパク質二次構造の一部分の不可逆性が示唆された.NMRスペクトル測定では,加熱後の各サンプルにおいて,熱変性などの構造変化に対応する1H-15N HSQCスペクトルの変化が見られた.