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[2G-09]スチームコンベクションオーブンの加熱条件によるにんじんの遊離糖含有量の比較

〇曽矢 麻理子1、小林 三智子1 (1. 十文字学園女大)
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キーワード:

にんじん、スチームコンベクションオーブン、遊離糖含有量

【目的】スチームコンベクションオーブン(スチコン)は、蒸気加熱とオーブン加熱をあわせ持つ(コンビモード)特徴から、熱伝導の速さや栄養素の損失の少なさなどの利点が謳われているが実験的なデータはあまりない。主要野菜であるにんじんは、果実野菜と並び糖度が品質評価の対象になるが、調理方法によっては遊離糖の損失が報告されている。本研究ではにんじんを用いて、スチコンコンビモードでの加熱による試料水分の減少が遊離糖含有量に影響するか加熱条件を変えて比較を行った。
【方法】にんじんは、栽培日数120日の「愛紅」、「アロマレッド」、「ライム」の3品種を用いた。調査設定は、スチコン加熱条件120℃、140℃、160℃(各加熱時間20分・スチーム100%)、それに未加熱の生にんじんも含め4項目とした。遊離糖含有量はHPLCを用いて、フルクトース、グルコース、スクロースの含有量を定量分析し、これらの糖の合計を遊離糖含有量とした。
【結果】120℃で約13%、140℃で約20%、160℃で約30%水分減少が見られたが、生のにんじんと比較して、水分の減少による遊離糖の損失は殆ど見られなかった。この結果からスチコンコンビモードでの加熱調理は、茹でおよび蒸し加熱などの調理方法と比べて遊離糖の流出を抑えられることが示唆された。これを甘みとして換算した結果、愛紅120℃加熱が5.38で最も低く、ライム160℃加熱が10.01で最も高かった。