講演情報

[3L-06]簡易型の過酸化物価測定キットを用いた揚げ物食品の劣化評価とその妥当性の検討

〇荒井 恵美子1、出口 智博2、大武 義人3 (1. 島根県立大学、2. 島根県産業技術センター、3. 長岡技術科学大学)
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キーワード:

過酸化物価、ヨウ素でんぷん反応、劣化

目的:揚げ物食品の品質劣化の指標は, 多量の試料油が必要な公定法による揚げ油の分析が主流であるが, 揚げ物食品の品質劣化は揚げた直後から, 極わずかずつであるものの徐々に始まっており, 我々が喫食するまでの間にも品質はさらに低下する. しかし, 従来からの酸化度測定のために必要な多量の試料油を, 直接, 揚げ物自体から確保することは不可能であるため, 本研究では, 少量の試料油でも測定可能な市販の簡易型過酸化物価測定キットを用いた場合の揚げ物食品の劣化評価の妥当性を検討した.
方法:未使用油と劣化油の2種類の油を用い, 170℃で2分30秒加熱し, 4種類の天ぷら(衣, かき揚げ, さつまいも, 豚肉)を揚げた. 上記調製試料を室温(24±2℃)および50℃恒温槽で保存し, 揚げた当日(0日), 2日後, 5日後の各試料の揚げ衣の表皮から直接, 少量の試料油を採取し, 過酸化物価測定キット(POVテスター5型, 柴田科学製)を用いて過酸化物価を測定した.
結果:未使用油で揚げた試料よりも劣化油で揚げた試料の方が, また, 保存期間が長いほど, 保存温度が高いほど過酸化物価は高値を示した. この結果は, 従来報告されている油脂の劣化と同様の挙動であることから, 本キットは, 揚げ物食品(天ぷら)の劣化評価を簡便に把握する手法として, 充分な妥当性を有するものと判断した.