講演情報

[3L-07]学校給食における豚肉の調理操作および品質が嗜好性に及ぼす影響

〇野沢 弘子1、村松 芳多子1、阿部 雅子1、渡辺 由美1、綾部 園子1 (1. 高崎健康福祉大)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

学校給食、豚肉、官能評価

【目的】学校給食において、肉類は重要な食材であるが、不快な肉臭さが生じることがあり、残食の一要因となっていると感じてきた。肉を炒めた際に溶出する肉汁を除去して料理を提供したところ、肉臭さがなく「おいしい」と評価された。そこで、通常の調理法(通常法)と肉汁を除いた調理法(改良法)を比較し、肉汁の除去および肉の品質が、おいしさに及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。
【方法】関東1都6県の学校給食の献立を用いて、献立中の肉類の出現率と回転釜を用いて肉を炒める料理の出現率を求めた。回転釜で肉を加熱した際の温度履歴と加熱による肉成分の変化を調べ、官能評価用にスケールダウンして、改良法と通常法による調理品(肉じゃが、回鍋肉、麻婆豆腐)の官能評価を行った。さらに、生菌数、VBNおよびにおいセンサーにより保存条件による品質の違いを検討し、嗜好性との関係を考察した。
【結果】肉類は学校給食において85%の献立で使用されており、最初に回転釜で肉を炒めるものが約4割であった。肉は炒め操作で重量が70%減少し、肉汁にはたんぱく質やミネラルなどが含まれた。官能評価の結果、肉の品質が良好な場合には通常法が、肉の品質が良好でない場合は改良法が好まれた。肉の品質には、保存温度と時間が関与し、低温保存が重要であった。おいしさにつながる調理操作は、絶対的なものではなく、肉の品質に応じて、いくつかの選択肢から選ぶことが求められる。