講演情報
[3M-6]「武生市史」にみる100年前の食とその変化次世代に残すべき郷土料理
〇佐藤 真実1、穴田 りょう1、西本 汐里1 (1. 仁愛大学)
キーワード:
ハレ食、郷土料理、福井県
目的 旧武生市の100年前の食(ハレ食を中心に)が現在どうあるかを明らかにしながら、次世代に残すべき郷土料理について考察する。 方法 越前市周辺のハレ食は、江戸大正時代の食生活を記した「武生市史民俗篇」を調査文献とした。現在におけるハレ食の喫食状況は、50~80歳代の97名にアンケート調査を行った。「次世代につなぐえちぜんの味」(2015)を参考に、次世代に残すべき郷土料理を考察した。 結果 かつての儀礼食としては「おすえ鉢」「もち」「シトギ」があげられたが、現在、「おすえ鉢」を知っている人は5%程度しかいなかった。現在、儀礼食としては主に「赤飯」が食べられていた。法事や葬式では現在でも料理を作る人が多少おり、すし、麩の辛子和え、きんぴらごぼうなどの郷土料理を作っていた。行事食としては、今でも多くの人が「田祝い・ほうば飯」 「秋祭り・すし、すこ、昆布巻き」 「冬至・小豆入りかぼちゃ」を食べていた。料理を作ったことがある人は、「結婚式」が約20%、「報恩講」が約30%弱、「法事や葬式」が約60%であった。家庭で手作りした人が多かった時代は、各「1970年代」「1980年代」「1990年代」であった。近年発行された郷土料理の本には、日常食「まぜ飯」「おつけ汁」や神事・仏事に関わるハレ食が掲載されていなかった。生活が大きく変化し、地域の多様な和食文化が郷土料理として残らないことが危惧された。