講演情報

[3M-7]新潟県上越地域におけるサメ食文化の現状と課題と展望

〇竹渕 泉1、井部 真理2、佐藤 ゆかり1、吉澤 千夏1、谷 友和1、橋本 暁子1、内海 巌3、光永 伸一郎1 (1. 上越教育大、2. kitchenstudio いべまり、3. 上越市創造行政研究所)
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キーワード:

サメ、食文化、上越地域

目的 「和食」が無形文化遺産に登録されて以降,その保護・継承が課題となっている.ここでは新潟県上越地域のサメ食文化を取り上げ,その現状を把握するとともに,保護・継承に係る課題を明らかにし,展望についても検討する.
方法 本学学部学生を対象としたサメ食に関するアンケート調査を行った.また,資料・文献調査を行い,上越サメ食文化の学術的背景を明らかにするとともに,各地に点在する同食文化との比較・検討を行い,その特徴・課題を明らかにした.
結果 上越地域以外の出身学生は,サメ食を印象的なものとして捉えていることが確認された.一方,上越地域出身学生の全員からは,サメ食の経験があるとの回答が得られ,その食文化は,ある程度は保護・継承されているものと推察された.反面,上越地域で流通しているサメの主産地は三陸であり,食文化こそ残ってはいるものの,サメ自体は他地域で漁獲されているという相反する状況にあることも確認できた.また,サメ肉から生ずるアンモニアが腐敗を遅らせることは,サメ食文化発展の重要な背景要因となっているが,これはサメに付着した微生物(発酵)によるものである.この事実は以前から知られていたことではあるが,本調査を通して,サメ食と発酵とを関連付けて述べた文献等が,ほとんど見当たらないことを確認するに至った.上越市は「発酵のまち」として地方創生を試みており,サメ食が新たに発酵の面からその一翼を担えるものと期待する.