講演情報

[3N-2]家庭科における持続可能な食生活の実現-食料自給率に着目した教科書分析-

〇香川 比奈1、速水 多佳子1 (1. 鳴門教育大)
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キーワード:

持続可能な食生活、食料自給率、家庭科、教科書

目的 2015年9月,国連サミット「持続可能な開発のための2030アジェンダ」において,「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択された。日本の食料自給率は,1960年の70%以上から2021年には47%まで低下し,先進国の中でも最低値に位置することとなり,深刻な課題のひとつとなっている。SDGsと家庭科教育の視点からも,自給率の向上に努めていく必要がある。本研究では,食料自給率の現状と課題解決について考える授業開発の基礎資料として,教科書分析から家庭科で扱う学習内容を検討していく。
方法 学習指導要領の家庭科食生活領域の中で,SDGsと関連した記載を整理した。次に,中学校と高等学校の「食料自給率」に関する教科書の記載内容の比較・分析を行った。対象とした教科書は,令和4年度に中学校で使用されている3社3冊(開隆堂,東京書籍,教育図書)と,高等学校「家庭総合」の中学校と同じ教科書会社の3冊の計6冊である。
結果 SDGsに関連する目標と学習指導要領の記載内容を整理した結果,環境に配慮する内容だけでなく,健康的な生活の確保に関する内容についても関連が見られた。教科書3社の「食料自給率」に関する内容を比較すると,情報量に大きな違いが見られた。記載内容は,言葉の説明,日本の食料自給率が低い原因,食料自給率の推移,目標値,国際比較,その他に分類することができ,グラフの有無やコラムの内容に関しても差があった。