講演情報

[P-020]加熱調理したトラマメから分画したレクチンのガン細胞増殖抑制作用及び抗炎症作用

〇畦 五月1、野中 紘士2、木村 万里子3、中田 理恵子4 (1. 香川大学、2. 奈良学園大、3. 神戸女子大、4. 奈良女子大)
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キーワード:

レクチン、トラマメ、細胞増殖抑制作用、抗炎症作用

【目的】レクチンは動植物界に広く分布する(糖)タンパク質である。糖特異性を認識するため、ガン細胞を認識しアポトーシスに導くため、一部レクチンはガン患者に投与されている。生試料からのレクチンの種々の観点からの研究はされているが、本研究では、調理した状態のトラマメレクチンがガン細胞、抗炎症作用に与える影響を検討した。 【方法】 乾熱と湿熱条件で処理後にも含有されるレクチンをマウス赤血球凝集活性を指標に林らの方法1)でカラムクロマトにより分画した。これらの画分のガン細胞増殖抑制作用、ビフィズス菌増殖作用、マウスマクロファージでの炎症関連遺伝子発現作用を検討した。 【結果及び考察】 レクチンは湿熱加熱のみで失活した。生マメと乾熱加熱を施したマメをそれぞれ同一の種のカラムに負荷した結果、溶出状態に差が認められた。各々の活性画分は、熱耐性、あるいは酵素耐性で相違が確認された。生および加熱したマメからの画分全てで、Hela細胞、B16メラノーマ細胞に有意に増殖抑制作用を示した。この特異性は、キントキマメから得られたレクチンと類似した傾向であった。これらの画分にはビフィズス菌増殖促進作用は確認されなかった。粗抽出段階の抽出液でIL-6、IL-1β、COX-2の炎症性サイトカインが有意に低下した。トラマメを食品として摂取した場合のレクチンの持つ有益な機能性が示唆された。 1) 林ら(1985)、日本家政学会誌,36,840