講演情報
[P-024]妊娠・授乳期の葉酸欠乏が次世代の代謝に及ぼす影響
中澤 梨乃1、桑山 ほのか1、井上 裕康1、〇中田 理恵子1 (1. 奈良女大)
キーワード:
葉酸欠乏、脂質代謝、出生仔
【目的】妊娠期に葉酸が欠乏すると、新生児の神経管閉鎖障害のリスクが高まることが報告され、胎児の正常な発育のために、妊娠前からの葉酸摂取が推奨されている。一方で、妊娠期、授乳期の母親の栄養状態が胎児に何らかの形で記憶され、その児の成人期以降の代謝や疾病罹患性に影響を与えるという考えが注目されている。この考えに基づき、私たちは母親の葉酸欠乏が出生仔の代謝に及ぼす影響について検討を続けている。これまでに、葉酸欠乏の母マウスから生まれた仔では、成長期までの高脂肪食負荷により、肝臓脂質の蓄積が亢進することを見出している。そこで本研究では、仔を成獣期まで飼育し、母マウスの葉酸欠乏が次世代の脂質代謝に及ぼす影響を解析した。
【方法】雌性マウス(C57BL/6J, 5~6週齢)に、葉酸欠乏食または対照食を妊娠前4週間から授乳終了まで摂取させた。各群の雄性仔は、離乳後から普通食または高脂肪食を22週間摂取させ、各種解析を行った。
【結果】母マウスの産仔数および仔の離乳時体重には、葉酸欠乏の影響は見られなかった。一方で、母親が葉酸欠乏であった仔では、高脂肪食負荷により肝臓トリグリセリドが増加する傾向がみられた。さらに、普通食の摂取によっても肝臓脂質量が有意に増加するとともに、脂肪酸合成系遺伝子の発現が変化していた。以上の結果より、母の葉酸欠乏が、仔の成獣期においても脂質代謝の反応性に影響を及ぼす可能性が示唆された。
【方法】雌性マウス(C57BL/6J, 5~6週齢)に、葉酸欠乏食または対照食を妊娠前4週間から授乳終了まで摂取させた。各群の雄性仔は、離乳後から普通食または高脂肪食を22週間摂取させ、各種解析を行った。
【結果】母マウスの産仔数および仔の離乳時体重には、葉酸欠乏の影響は見られなかった。一方で、母親が葉酸欠乏であった仔では、高脂肪食負荷により肝臓トリグリセリドが増加する傾向がみられた。さらに、普通食の摂取によっても肝臓脂質量が有意に増加するとともに、脂肪酸合成系遺伝子の発現が変化していた。以上の結果より、母の葉酸欠乏が、仔の成獣期においても脂質代謝の反応性に影響を及ぼす可能性が示唆された。