講演情報

[P-026]離島の未利用魚介類を用いて調製した魚醤の呈味特性

〇湯浅 正洋1、烏山 菜摘2、古場 一哲2、松澤 哲宏2 (1. 神戸大、2. 長崎県立大)
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キーワード:

魚醤、離島、未利用魚介類、食塩相当量、遊離アミノ酸、味覚応答

目的:長崎県の離島である宇久島では,地元高校が中心となって,漁協および県内大学と連携しながら,未利用魚介類を用いて調製した魚醤を販売する取り組みが行われている.しかし,これまでにこれら魚醤の嗜好性に関わる呈味などの特徴は明確にされていない.そこで本研究では,離島の未利用魚介類を用いて調製された魚醤の呈味特性を明らかにした.なお,魚醤の呈味特性を明確にするために,一般的な醤油や魚醤との比較を試みた.
方法:試料は醤油類(濃口醤油,減塩醤油),一般の魚醤(しょっつる,ナンプラー),離島の魚醤(エソ,タチウオ,ガンガゼ)とした.測定項目は,食塩相当量,遊離アミノ酸,有機酸および味覚応答(味認識装置により測定)とした.
結果:離島の魚醤の食塩相当量は濃口醤油と同等で,一般の魚醤よりも低値を示した.離島の魚醤の遊離アミノ酸総量は,醤油類と一般の魚醤よりも低値を示した.一方,離島の魚醤の有機酸総量は,醤油類よりも高値を示し,ナンプラーと同等であった.味覚応答においては,醤油類と一般の魚醤と比べて,離島の魚醤の酸味が強く,うま味と塩味が弱かった.以上より,離島の魚醤においては,食塩濃度は一般的な魚醤よりも濃口醤油に近く,遊離アミノ酸は少ないものの,比較的有機酸を含むことが明らかとなった.また,味覚応答より離島の魚醤のうま味や塩味は一般的な醤油や魚醤よりも低く,さっぱりとした口当たりであることが示唆された.