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[P-032]「大和まな」のL-Galactono-1,4-lactone dehydrogenaseに及ぼす加熱温度の影響

〇岩田 恵美子1、福井 湖乃美2、後藤 昌弘2 (1. 畿央大、2. 神戸女大)
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キーワード:

ガラクトノ-1、4-ラクトンデヒドロゲナーゼ、大和まな、低温加熱

[目的]奈良県の伝統野菜である「大和まな」を60℃および80℃で低温スチーミング加熱した場合,60℃加熱で総アスコルビン酸含量や還元型アスコルビン酸含量が増加することをこれまでに報告した。このメカニズムを明らかにするため,まずアスコルビン酸の合成に関与する酵素の一つであるL-Galactono-1,4-lactone dehydrogenaseの活性を測定し,温度による影響を調べた。
[方法]「大和まな」は,2022年8月に県内の仲卸業者より購入し,外側3枚を外葉,それら以外を内葉とし,さらにそれぞれを葉身部と葉柄部に分けて今堀ら(1998)の方法に準じて酵素を抽出し,活性を測定した。酵素活性測定時の温度は,30℃,60℃,80℃として,酵素添加後のチトクロームCの増加を測定し,酵素中のたんぱく質1㎎あたりの比活性を求めた。酵素中のたんぱく質含量は,ブラッドフォードプロテインアッセイ(BioRad製)を用いて求めた。
[結果]外葉の葉柄部では,30℃と比べて60℃,80℃ともに差が認められなかった。外葉の葉身部では30℃より60℃で活性が増加したものの,80℃では60℃の活性より,やや低下する傾向がみられ,30℃と80℃の活性では差が認められなかった。内葉の葉身部と葉柄部では,30℃と比べ60℃と80℃ともに活性が有意に増加した。これらのことから,60℃加熱で総アスコルビン酸が増加する可能性が示唆された。