講演情報

[P-033]高齢者対応のカルシウム補給低塩パンの調製および給食施設への導入

〇山田 密穂1、小泉 昌子2、設樂 弘之3、峯木 眞知子2 (1. 自然派パン工房ぷれっちぇる、2. 東京家政大、3. キユーピー(株))
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キーワード:

卵殻粉、パン、カルシウム摂取量、テクスチャー特性

目的 カルシウム(以下,Ca)は,日本人に不足しがちな栄養素である.特に高齢者においては,骨粗しょう症予防対策としてCa摂取量の増加が重要視されている.未利用資源である卵殻を粉状にした卵殻粉は約40%のカルシウムを含み,多孔質のために消化吸収もよい.そこで,卵殻粉を添加してCaを強化し,かつ低塩を試みたパンを調製した.病院および高齢者施設などの給食施設での導入を目指す.
方法 給食に求められるCa入りパンの条件をアンケート調査によって把握した.この調査を基に,卵殻粉添加パンを調製し,体積・重量・比容積・水分含有率・テクスチャーを測定し,組織構造を観察した.パンは,小麦粉,上白糖,スキムミルク,無塩バター・マーガリン,全卵,水,インスタントドライイーストを用いた.卵殻粉は小麦粉の0,1,2%とした.塩は通常の1/2量を用い,調製にはホームベーカリーを使用した.
結果 卵殻粉を小麦粉の2%加えると,1回のパンの摂取量(70g)で約300mgのCa量が摂取できる.調製試料の体積・比容積・水分含有率は,卵殻粉の添加量が増えるにつれ,やや低値であったが有意差はなかった.凝集性では,卵殻粉の添加量が増えるにつれ低くなる傾向を示したが(p<0.1),かたさ・付着性では差がなかった.卵殻粉2%添加試料においてパン内相部がかたくなることへの対応策として,上白糖の一部をトレハロースに置換したところ,改善がみられた.