講演情報
[P-046]ダイコンのテクスチャーに及ぼす金属イオンの影響
〇岡田 麻菜美1、佐藤 瑶子1 (1. お茶の水女大)
キーワード:
軟化、キレート、カルシウム、マグネシウム、金属イオン、ダイコン
【目的】野菜の加熱による硬さの変化には金属イオンが関与することが報告されている。しかし、内在性および外在性のイオンがそれぞれ野菜の硬さに及ぼす影響を比較した報告はない。そこで両者が野菜の硬さに及ぼす影響を検討することとした。 【方法】ダイコン1 cm角を100℃で1分間予備加熱した。その後、RO水、EDTA(多価金属イオンをキレート)、EGTA(Ca2+を選択的にキレート)、CaCl2またはMgCl2水溶液に4℃で20時間浸漬し、沸騰RO水中で10分間加熱した。溶液濃度はキレート溶液は0.005 ~ 0.06 N、塩溶液は0.001 ~ 0.5 Mとした。硬さ(テクスチャーアナライザー)、金属イオン含量(原子吸光法)を測定し、SEMによる組織観察を行った。 【結果】0.06 N EGTA水溶液および全ての濃度のEDTA水溶液浸漬は、RO水浸漬と比較して加熱前後のいずれも軟らかかった。SEMにより0.06 N EGTA水溶液浸漬により細胞間の接着が低下、EDTA水溶液浸漬により細胞壁が脆弱化している様子が観察された。0.005 N EGTA水溶液浸漬後加熱した試料はRO水浸漬よりも18%硬く、加熱後も細胞接着が保持されている様子が観察できた。Ca2+を少量取り除くと、加熱による軟化が抑制されることが明らかになった。CaCl2水溶液浸漬はRO水浸漬とほぼ同じ硬さである一方、MgCl2水溶液浸漬は軟らかかった。