講演情報

[P-059]大学生におけるリスク評価意識の変容に向けた取り組み食品添加物を題材として

〇久保 加織1、西田 龍馬1 (1. 滋賀大)
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キーワード:

リスク評価、リスクコミュニケーション、食品添加物、大学生

目的 食品安全委員会の報告書(2015)には、食品におけるリスクの認知は主観に影響され、「食品のリスクはゼロであるべき」と考える傾向にある、と記されている。食品リスク判断力の醸成が望まれる。本研究では、大学生を対象として、食品添加物を題材としたリスクコミュニケーションについて検討した。
方法 S大学の学生250名に2022年11月に食品添加物に対する意識や知識を問う事前調査を実施後、食品安全委員会や厚生労働省が公開する情報をまとめた資料を約1ヶ月間、自由に閲覧させた。その後、事前調査と同様の内容の事後調査を実施した。事前調査と事後調査の両方に回答したのは149名(59.6%)であった。分析にはIBM SPSS Statistics 27とKH Coderを用いた。
結果 事前調査の回答から、食品添加物には、食品を保存する有用性を認める一方で、負のイメージも持っていることを確認した。事後調査では、食品添加物は必要とする意見が増加したが、「ポジティブリスト制」、「無毒性量」、「一日摂取許容量」の意味を正しく判断する解答は少なく、資料閲覧のみでは十分な理解には至らなかった。食品添加物に関する知識を問う事後調査への回答をもとに対象者を4クラスターに分類した結果、正答率が高いほど食品添加物を必要以上に避ける必要はないと判断する傾向が見られた。食品添加物に対する理解を深めることで判断力を醸成できる可能性が示唆された。