講演情報

[P-099]「いい子」の傾向がある者の葛藤に関する考察

〇村井 あかり1、関谷 美希1 (1. 日本女大)
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キーワード:

いい子、葛藤、フォーカスグループインタビュー

目的  本研究では,仮説として、「いい子」として振舞っている者が「いい子である」という他者からの評価を得られない際に外的葛藤を起こしており、また他者からの評価を得られた場合も周囲に過剰に適応しているため心理的不適応を起こしていると仮定し、これを検討することを目的とする。また,客観的指標を用いて「いい子」傾向を測定し,愛着スタイルや自尊感情といった個人内要因と,「いい子」の抱える葛藤との関連を検討する。  表面上は適応的であることから注目されにくい「いい子」の抱える葛藤に焦点を当て、その心理的メカニズムを明らかにすることで、「いい子」について新たな知見を得ることを期待する。 方法  「いい子」に関する過去の具体的なエピソードについて,女子大学生14名にフォーカスグループインタビューを3回実施し,過剰適応尺度,アタッチメントスタイル測定尺度(ECR-GO),自尊感情尺度を5件法で配布した。また,男女数百名を対象に同上の尺度を5件法で配布した。 結果と考察  インタビュー調査にて得られた音声データより逐語録を作成し、質問紙調査結果をSPSSにより解析した。その結果、「いい子」の動機,行動の内容が明らかになった。また「いい子」傾向が高い者が周りの期待に応え自己の気持ちを抑えることで内的葛藤と外的葛藤を引き起こしており,葛藤状態を解消するために更なる「いい子」を演じるという循環のプロセスが推察された。