講演情報
[P-115]単純なタスクの繰り返しが脳波事象関連電位に与える影響3つの異なるモダリティによる差に注目して
〇池村 朋子1、牧井 美波1、久保 博子1、中田 大貴1、芝﨑 学1 (1. 奈良女子大学)
キーワード:
認知機能、注意力、視覚、聴覚、触覚
目的 単調なタスクの繰り返しは、自動化や注意力の低下、疲労などを誘発し、作業効率に良くも悪くも影響する。作業効率に関する研究では行動指標である正答率や反応時間などで運動遂行過程を評価しているが、正誤に影響する運動抑制過程を評価した研究は少ない。本研究では脳波事象関連電位による運動抑制過程に注目し、3つの感覚刺激(視覚、聴覚、触覚)の単純タスクの繰り返し実験を実施した。 方法 被験者は椅座位安静を保持した後、5分間の単純な認知課題と5分間の安静の組み合わせを6回繰り返した。単純な認知課題には運動抑制過程を評価するためにGo/No-go課題を採用した。視覚、聴覚、触覚刺激によるGo/No-go課題はそれぞれ別の日にランダムに実施した。行動指標は反応時間とエラー率から比較した。 結果 行動指標にはいずれの感覚刺激においても繰り返しの影響は認められなかったが、触覚刺激におけるP3潜時は繰り返しにより遅くなった。運動遂行過程を反映するGo試行時のP3振幅は視覚と触覚刺激では繰り返しによって低下したが、聴覚刺激では繰り返しの影響は認められなかった。しかし、運動抑制過程を反映するNo-go試行時のP3振幅は3つの刺激とも繰り返しによって低下した。これらの結果より、P3成分の潜時および振幅はモダリティによって影響の程度が異なり、運動遂行過程と運動抑制過程においてもモダリティによる違いが認められた。