講演情報

[2A-02]肉の筋繊維模倣により食感を制御したレーザーフード3Dプリント代替肉

*宮崎 和真1、武政 誠1 (1. 東京電機大学)

キーワード:

食感、フード3Dプリンタ、代替肉

目的  肉の食感は、タンパク質で構成されたサブミリスケールでの繊維間の結合強度に起因するが、この複雑な構造を人工的に再現することは困難である。本研究では、レーザー3Dプリント技術を用いて、筋繊維を含んだ代替肉を作製し、精密な食感設計による模造肉の食感制御法を開発することを目的とした。
方法  レーザー光源に半導体レーザーを用い、熱硬化性ゲルの高分子素材として卵白、食用色素を吸収剤として添加したフードインクを使用した。楔型プランジャーを用いて、代替肉の繊維に対して平行及び垂直方向に一軸圧縮試験を実施した。圧縮試験では、最大圧縮力を「かたさ」、圧縮方向による最大圧縮力の差を「構造異方性」として、3Dモデルによる各種食感への影響を評価した。
結果  圧縮試験結果より、3Dモデルの設計のみで、「かたさ」の制御が可能となり、角煮様の食感を繊維のほぐれやすさとして、また噛み応えのあるステーキの食感までも造形可能となった。二重にレーザー照射されるオーバーラップ領域を調整することで、架橋密度の増減により繊維間同士の結合強度を制御できたことに起因すると考えられる。さらに、上下の2ブロックに肉を分割し、それぞれで繊維間距離を変化させた不均一構造により、12.4 倍までの「構造異方性」の制御も可能となった。繊維の配向が顕著である鳥ささみ肉の「構造異方性」は約3 倍であるため、幅広い肉の構造異方性を3Dプリントできる技術を確立したと考えられる。