講演情報
[3A-01]魚肉表面をアルカリ性化することでモルガン菌によるヒスタミン産生を抑制できる
*小林 千花1、菊﨑 泰枝1、小倉 裕範1 (1. 奈良女子大学)
キーワード:
ヒスタミン食中毒、モルガン菌、赤身魚
【目的】ヒスタミン食中毒は赤身魚の肉片中に蓄積したヒスタミンを摂取することで発症し、大規模食中毒事件を引き起こす。ヒスタミンは、モルガン菌(Morganella morganii)が保有するヒスチジン脱炭酸酵素(HDC)により魚肉中のヒスチジンから生成される。先行研究では、モルガン菌におけるhdc遺伝子の転写産物が酸性条件下で増加すると報告されている。そこで本研究では、魚肉のpHをアルカリ性に保つことで、モルガン菌によるヒスタミン産生を抑制できるか検証した。
【方法】実験Ⅰとして、モルガン菌NBRC3848株をpH5,7,9のLB培地で培養し、菌量および培養上清中のヒスタミン量を測定した。実験Ⅱとして、魚肉片表面のpHを重曹溶液でアルカリ性に調整し、モルガン菌によるヒスタミン産生への影響を検討した。
【結果】実験Ⅰの結果、酸性条件では菌の増殖が抑制されるにもかかわらず、最も多量のヒスタミンが検出された。一方、アルカリ性条件では増殖の抑制は無かったが、ヒスタミン産生は強く抑制された。実験Ⅱでは、マグロ刺身を2-5%の重曹溶液に10分間浸して表面をpH8-9に調整した後、モルガン菌を接種して室温で6時間静置培養した。その結果、無処理の場合と比較してヒスタミン産生量が有意に低値であった。以上より、魚肉表面のアルカリ性処理は、モルガン菌によるヒスタミン産生を抑制する有効な手段となり得ることが示唆された。
【方法】実験Ⅰとして、モルガン菌NBRC3848株をpH5,7,9のLB培地で培養し、菌量および培養上清中のヒスタミン量を測定した。実験Ⅱとして、魚肉片表面のpHを重曹溶液でアルカリ性に調整し、モルガン菌によるヒスタミン産生への影響を検討した。
【結果】実験Ⅰの結果、酸性条件では菌の増殖が抑制されるにもかかわらず、最も多量のヒスタミンが検出された。一方、アルカリ性条件では増殖の抑制は無かったが、ヒスタミン産生は強く抑制された。実験Ⅱでは、マグロ刺身を2-5%の重曹溶液に10分間浸して表面をpH8-9に調整した後、モルガン菌を接種して室温で6時間静置培養した。その結果、無処理の場合と比較してヒスタミン産生量が有意に低値であった。以上より、魚肉表面のアルカリ性処理は、モルガン菌によるヒスタミン産生を抑制する有効な手段となり得ることが示唆された。