講演情報

[3A-02]光照射による抹茶含有食品の退色・変色

*安田 みどり1、高祖 修一1、池田 圭佑1、米山 明男2 (1. 西九州大、2. 九州シンクロトロン光研究センター)

キーワード:

抹茶、光、退色

【目的】緑色色素のクロロフィルは、光によって分解することが知られている。食品業界では、緑茶や野菜を含んだ食品が光によって退色や変色を起こすことが問題となっており、フードロスの原因となっている。本研究では、光照射による抹茶含有食品の退色・変色について調べることを目的とした。また、走査型蛍光X線顕微鏡を用い、抹茶特有の元素について光に対する影響を調べた。
【方法】試料として、抹茶(薄力粉の約10%)を含んだクッキーを用いた。この抹茶クッキーにLEDライトにて10または20 kluxの光を照射した。光を照射する前と、1時間ごとに照射したときの色差を分光測色計(CM-5、コニカミノルタ)にて測定した。また、走査型蛍光X線顕微鏡(九州シンクロトロン光研究センター)にて、Mg、K、Ca、Pなどの元素のマッピングを行った。
【結果】光を照射した抹茶クッキーは、照射時間の経過に伴い、L値およびa値は上昇したが、b値は低下した。これは、緑色が退色し、茶色に変色したことを示している。また、光の照度が高いほど、退色速度や退色率が増大した。走査型蛍光X線顕微鏡による元素マッピングでは、光照射に伴う明確な変化は観察されなかった。今後は、抹茶含有食品の光安定性向上やクロロフィルの光分解時に生じる活性酸素による内部構造へのダメージなどについてさらなる検討が必要である。