講演情報

[P-019]炊飯過程における玄米内部の視覚的・定量的変化と糊化度との相関性

*大田原 美保1、福原 美鶴2 (1. 大妻女大、2. お茶の水女大)

キーワード:

炊飯、玄米、糊化度、画像解析、明度

目的 炊飯中の糊化を伴う粒内部の変化について,厚さ0.1 mmに圧縮した白米の飯粒画像を解析して先に報告した1).本研究ではその手法を玄米に適用して炊飯過程の粒内変化を視覚的・定量的に把握し,糊化度との相関性を検討した.
方法 コシヒカリ玄米に異なる加水比(重量比)で炊き水を加え,浸漬後に炊飯した.沸騰後,経時的に釜から飯粒を取り出して玄米飯試料とした.玄米飯試料の水分含量(常圧加熱乾燥法),糊化度(BAP法)を測定した.また玄米飯試料の皮を除去し,厚さ0.1 mmに圧縮したプレパラート(圧縮米飯粒)を作製して粒全体の明度L(測色式差計)および顕微鏡画像を解析した.
結果 糊化度はいずれの加水比でも沸騰後12分の時点では低く,蒸らし終了後は95%以上の高値となった.圧縮米飯粒の画像を輝度Ⅰ–Ⅳ区分に多値化して示すと,いずれの加水比でも沸騰後12分では粒中央部にⅠⅡの低輝度区分が多く,粒内は不均一であった.蒸らし終了後は粒全体を最も高輝度のⅣ区分が占めたが,加水比1.5は粒中央にⅢの区分が多く,粒内の均一性が他の試料とは異なる様子が捉えられた.圧縮米飯粒画像の輝度平均およびL値は糊化度と高い相関を示したことから,多値化画像は粒内の糊化状態を視覚的に捉えており,Lは糊化度の簡便な指標となることが示唆された.1)大田原ら,日本調理科学会2023年大会要旨集p.73(2023)