講演情報
[P-043]韓国農村振興庁による郷土料理調査の展開
*朴 卿希1 (1. 仁荷大学)
キーワード:
韓国、郷土料理、農村振興庁、生活改善、生活指導員
目的:今日、韓国で郷土食は地域の産業資源として注目されている。本研究は生活改善事業という枠組みの中で捉えられた郷土食の特徴を明らかにすることを目的とし、韓国の農村振興庁により行われた郷土料理調査を検討する。当初農村生活改善事業の実施を目的とし1962年韓国政府により設立されたが、2008年に同庁により14,000余りの地域の料理が調査され、その中から約3,000種類が郷土料理として整理された。これは現在韓国の郷土食研究におけるひとつの基準となっているが、この機関による郷土料理調査はあまり注目されなかった。方法:韓国農村振興庁より発行された年次報告書及び生活改善事業に関わった関係者から得られた資料を用いた文献調査を主とした。結果:全国規模の郷土食調査が1979年、1992年、1999年に行われ、調査期間は各々2か月間、2年間、6年間であった。面談調査では村人に生活改善プログラムを直接指導していた生活指導士が深く関わっており、作り方の他に料理の由来、地域での独特な呼び名等も調べられていた。最終的には調理しやすさ、他の地域の食材が使えるかどうか等の基準を満たした料理が郷土料理と選定された。郷土食とはいえ、地域色よりも普及しやすさが基準になったことが推察される。さらに農村振興庁による全国規模の詳細な郷土食調査が可能であったのは、生活改善事業を行っていた生活指導員の組織がすでに整っていたからであると考えられた。