講演情報
[P-090]過疎化の進む地方都市に住む障害者のQOLを考える―成人した障害者を対象とした金融教育講座を通してー
*安岡 知美1、森田 美佐2 (1. 高知大附属特支、2. 高知大)
キーワード:
障害者、QOL向上、金融教育
目的 地方の人口減少が急速に進み過疎化が進行している中、障害者の生活や金銭・余暇についての実態を知り、豊かに生きていくために今後求められることを考察する。方法 (1)高知県安芸市において就労支援施設を利用する10~60代の障害者(知的・身体・精神)を対象とした金銭を含む生活実態の調査を行う。(2)(1)の結果をもとに金融教育講座を行い、対象者の講座後の感想から考えの変容を探る。(3)保護者にも「親亡きあとの心配なこと」について調査を行う。結果 (1)毎日が楽しくないと答えた人が2割弱いた。自分の給料や貯金についても全て保護者や支援者任せで本人は金額を知らないケースが多い。余暇で上位に挙げられた項目は昼寝、スマホ、買い物であり、余暇の選択肢・場所が少ない。(2)講座では様々な生き方を提示し考えさせたことから、今後自分の給料額を知りたいと答えた人が大半。自分の通帳を見たい、自分で管理し、貯金をしていきたいと答えている。(3)保護者は「親亡きあと」の子の自立した生活を心配しながらも具体的に行動に移していることがない家庭がある。考察 障害者は支援されるだけの存在となっていないか。障害があっても、自分で自分の豊かな人生をプロデュースできるように可能な限り支援し、料理や金銭等について本人が学ぶ機会、余暇を充実させるイベントを考えいく等、障害者のQOL向上のために、可能な施策を模索していく必要がある。