講演情報

[P-094]母親の語りにみる子育てにおける喜びと不安の変化(その2)母親のQOLに着目して

*安東 英里佳1、吉川 はる奈1 (1. 埼玉大)

キーワード:

子育て、QOL、母親、縦断研究

<問題と目的>核家族化や地域関係の希薄化など、孤立した子育てに繋がりやすい社会的背景の中で、よりきめ細やかな子育て支援が必要となる一方、コロナ禍以降広がりをみせる在宅ワークが、子育て家庭にどのような影響を及ぼすのかを明らかにする調査研究は少ない。変化の激しい現代社会における家庭生活に焦点を当て、幸福感やwell-beingの視点から、「生活の質(Quality of life:QOL)」を含めた子育て支援について検討していく。
<対象と方法>乳幼児を子育て中の母親を対象に子育ておよびQOLに関する質問紙調査を行った。さらに子育てに関する不安や喜び、生活等について、半構造化面接によるインタビュー調査を行った。子育ての時間経過とQOL評価の変容を明らかにするため、児が10ヶ月時、1歳5ヶ月時と継続調査を行った。
<結果>新生児期には母親の「睡眠不足」が大きな悩みとなっていた。その後児の生活リズムが安定するまで繰り返す「夜泣き」の時期には、友人との情報交換や運動量の確保などの工夫で乗り越えていた。父親が在宅ワークであることは子どもと過ごす時間の増加に繋がった。そのことは、母親が父親について子どもを安心して預けることができる存在として受け止めることに繋がり、ストレスの軽減に向けた行動を起こすことを後押ししていた。育休取得からの復職は大きな不安要因であり、個々の不安に寄り添った柔軟な働き方が選択できることが求められる。