講演情報

[P-106]小学校家庭科衣生活学習における実践的・体験的学習の検討「わたしのふく絵本づくり」を事例として

*佐藤 ゆかり1、石引 公美2 (1. 上教大、2. 都留文大)

キーワード:

家庭科、衣生活学習、小学校、実践的・体験的学習、拡張的学習、活動理論

目的 エンゲストロームの「拡張的学習」の理論を整理し導き出された家庭科の実践的・体験的学習が目指したい「6つの示唆」が報告されている。それは(1)子どもが対象に向かう目標や動機、使うことができる道具や集団を考える(2)衣食住など個々の人間生活を考える際にも、生活の全体性を考える(3)学習の対象を子どもの生活の中の違和感として捉え直し、動機とする(4)学習の中で発生する矛盾を問いとして、その解決を模索する活動からうみだされる(5)科学と芸術の成果を道具として学習活動を行い、その成果を新しい生産的実践にする(6)対象が使用価値と交換価値の二重の性格をもつからこそ学習する意味がある、である。しかし、どのような家庭科授業がそれにあたるかの検討はなされていない。そこで衣生活学習を事例に「6つの示唆」を含み得ているかを評価・検討した。
方法 教材「わたしのふく絵本づくり」による授業(2024年7月、J小学校5年生10人を対象)と評価(2025年1月、担任を対象としたヒアリング調査)をおこなった。
結果 自分の衣服に着目し、そこを起点として自分の衣生活全体を想像することにより、縫うことが児童の生活で必然性をもつ課題として位置付けられた等を理由とし、授業は児童にとって楽しい学習であったと評価された。授業は「6つの示唆」を含むと解釈できるものであったが、(5)(6)の示唆が含まれる授業と担任が認識することは難しかった。