講演情報

[P-120]消費者教育における対話型論証モデルを用いた大学生の論理的思考の検討

*三宅 元子1、飯尾 健2 (1. 名古屋女子大、2. 徳島大)

キーワード:

消費者教育、対話型論証モデル、論理的思考

目的 現在、消費者教育では、自立した消費者となるためには知識と批判的思考の両者を身に付けることが求められている。そこで、本研究では批判的思考の中でも特に「対話型論証モデル」を用いた論理的思考に着目し、大学の授業における実践から、学生は論理的思考が求められる際にどのように思考しているかを検討する。
方法 本研究の同意が得られた学生86名(3、4年生)を対象に、2023年度前期開講の専門科目「S」で「対話型論証モデル」のワークシートを用いて実施し、学生が記入した内容をルーブリックで評価する。また、授業終了時に実施した自由記述での振り返りについてテキストマイニングによる分析を行う。
結果 ルーブリックの評価結果をもとに学生を高群と低群に分け、観点ごとにレベルの分布を比較した。高群の学生は、賛成と反対の立場をキーワードをもとにしっかりと示し、反論を考え最後に結論を出すという対話型論証モデルの形に沿いながら論理的思考が行われていた。一方低群は、最初の賛成・反対の立場を検討する時点で躓きが見られ、そのため的確に「反論」や「結論」を示すに至らなかった。また、振り返りのテキストマイニングの結果、高群の学生は自分なりの結論を出すことを強く意識していたが、低群の学生は賛成・反対の立場の論理を検討することに注目しており、高群と低群の学生では対話型論証モデルで注目する点が異なっていることが明らかとなった。